刀ミュ衣装についての感想と考察

服飾のプロ目線の刀ミュ衣装についてのあれこれ

祭衣装について らぶフェス2018

祭り衣装について

真剣乱舞祭2018で度肝を抜かれた祭り衣装。山鉾とかもろもろ全部がポッカーンしたわけですが、衣装のブログなので衣装のことを書きます。
全てが憶測で本当は違うのかもしれないけど、っていうのは大前提なので正解を知ってる方がいたらアクションください(ください)。

 

祭り衣装のかっこいい!すげえ!!以外の最初の感想としては『上手に省いて最大の効果を出したな』です。


・デザイン云々の前に衣装の形について
まず、上衣と下衣は元々の戦装束の上に羽織っただけ。着替える時間カット&衣装コストもカット。(省けるところをカットする=無駄なことをしない=余力を他に回せる、という肯定の意味です)
次に、刀剣男士は短刀から薙刀までまあサイズがバラバラですね。ライブ衣装なら各刀完全オーダーメードだけど祭り衣装はみんなお揃いです。


多分、ベースの型は3サイズくらいで作って、それを各刀に合わせてアレンジしてる。なぜそう考えたかというと、型紙の作製コストってものすっごくかかるんです。十何種型紙作るより3サイズ作ってアレンジした方が断然無駄がない。デザイン的にゆとりのある上衣と巻きつけ方でサイズもアレンジもし放題な下衣。ここで衣装コストをまた抑えることができている。


そして、背面のあの素晴らしい龍と虎のプリントなんですが(麒麟は一振りなので)、プリント図案それぞれ一つで西軍東軍全員分作ってますね。まあお揃いなんで。
ここでもまたサイズ問題が出てきます。背中にどかーんとあんな大きな図案だけど、今剣ちゃんと岩融でサイズだいぶ違くない???
かといって刀剣のサイズに合わせて柄を縮小拡大するのもなんだか変です。並んだら絶対おかしい。あとプリントの関係で無理がある。
(豆知識:生地プリントは昔は版画みたいに”プリントの元版”を作って刷るのが主流で今でも普通はこれ。元版作るのにお金かかります、かなりかかります。最近は布地に直接プリンターで印刷できるようになったので少量でも安価にできるものもあります)
つまり、あんなにサイズが違うのに背面の図案が全部同じで、並んでも違和感ないってすごいですよ。ワンポイントとかならまだしも全面プリントですよ。

 

 


プリントの中身の解説
1.柄の一番目立つ部分を各刀の体の同じ位置(龍の顔は腰のあたり、虎の顔は背中)に来るようにプリント生地を使うことで同じに見える。
2.背丈や身幅でカットされる部分は色柄を入れつつも多少切れても違和感のない模様にしてある。
この二点により同じ図案で異なるサイズなのに違和感がない!よく見ると岩融と比べて今剣ちゃんの裾の赤い部分少ないんですよ。(これ絶対同じ図案使ってるはずなのにおかしいって何回も何回も見返しました)
さすがですね。そして、コストカットできたことで生まれた余力が装飾に活かされたと思いました。

 

・デザイン面の話
一番大きな声で言いたいのは『衿の幅変えてるのなんで?!めちゃくちゃかっこいい効果的!!!』
(和装は明るくないのでスタンダードなことだったらごめんなさい)
いやもう全部かっこいいんだけども、一番目立つ衿に各キャラの色重ねてるのはわかる。予想の範囲内。でもですよ、衿の幅変える?首の後ろは細く前端に向かって幅が広くなってます。上衣の前面は真っ白なのでその衿が袖口の共布と合わせてとってもいい仕事してます。

袖口の色布の幅とのバランスで衿の幅も変えたのかな?なんにせよこのほんの少しの工夫が全体的なデザインにものすごい影響を与えていると感じました。
衿のもう一つは見たまんま、左右で色変えてるの。写真集ガン見してやっと理解しました。(映像って見入っちゃうよねっていう言い訳)
上衣の袖口の布と下衣の縁取りの布、なんですね。やること細けえなあー。

あとはみなさんお気付きの、「腰に巻いてるのいろいろじゃん、きゃーーーー!!」です。
土方組、源氏兄弟はお揃い、村正はピンク、物吉くんはなんかキラキラしてるし、今剣ちゃんはいつもの差し色赤、蜂須賀さんは金に藤色の飾り紐、他にも和服の帯っぽい感じ…とまあ書き切れないですね。(映像見て目についたのだけ書きました。刀選に特に意図はありません)
そして腰で巻きつけてる下衣は合わせる位置が刀によってアレンジしてあります。センター・右寄り。左寄り。これは元の戦装束のデザインとか下に履いているものとの兼ね合いとか色々かなあ。長曽祢さんのが短いのは膝の防具にぶつかっちゃうからなんだろうけどなんかちょっとふふってなりましたね。(褒めてます)

 

祭りのパートだけで繰り返し何回でも見れる。見るたび発見がある。恐ろしい。
ちなみに祭り衣装の生地はよくある普通の布で、これはプリントが綺麗に出るってのと法被(御輿担いたりするときに着てるやつ)はそもそも綿(豪華な織物ではない)ってので、その分衿と袖口に織り模様の入った生地を使うことで舞台映えしてるなと思います。

祭り衣装は工夫と絶妙なバランスと私たちが大好きな萌えどころをピンポイントでついてくるっていう奇跡の仕上がりですね。
はあああああ。ありがとう。

 


ついでに蜂須賀様の新衣装について語ってもいい?語りますね。
なにあれ最高!!!!刀ミュ運営の偉い人ありがとう!!そして麗しいお衣装にしてくださったデザイナさん大好き!

 

 

 


初見は夢か幻覚かと思いましたね。
フリルタイをレースで作った(正確にはシャツに縫い付け)のを刀剣男士に着せるとか正気じゃない。最高。はっちーだから似合うし相応しい。
ベストは全面レース重ね(かな?)にブレードで縁取りした上に金ボタンでゴージャスなのに上品
ジャケットは細かいラメ入りで、返り衿(ラペル)は刺繍入りの薄布っぽいの重ねててさらにベストのブレードと同色で太い縁取りの存在感。
普通こんなに合わせたらギランギランになっちゃうところなのに上品。
何より全体の色味がシャンパンゴールドと薄い藤色っていう淡い色なのにぼやけた感じが一切ない。
パンツはシンプルな白なんだけどサイドに黒地金ラメ(っぽい)のラインを入れることで引き締まっている。そして腰のふわふわかわいいな。何と言っても白の編み上げロングブーツ!!(紐がゴールド)
はぁー、蜂須賀様最高かよ。最高だよ。好きキャラだからごめんね。
この全体に淡い色合いに藤色のロングヘアーがすっごく映えて美しいの一言。この衣装では髪飾りが控えめで、イイ!
蜂須賀さん単体で見ると袖口のファーが異質で、どうした??ってなるところなんだけど、幕末組(むすはじ衣装)と並ぶと「なるほど!」なんですよね。あと、ジャケットに縦に入っているオレンジのラインは長曽祢さんとお揃いなんですよ。虎徹…。
(っていうか、長曽祢さんのジャケットについてるベストにもレース重ねてない?まじかよ。むすはじの衣装についてまだなんも書いてないよ。ここも”対”じゃん。虎徹ッ!!)

追記2019/08/13

蜂須賀さんの後姿、ベルトにマイク機材入れと思われるケースがついてます。スマホくらいの大きさで奥行は結構ある感じのケース。

これがですね、黒(合皮)にゴールドのレースで装飾してあるんですよ!!この細かさ!!ありがとうありがとう。かわいいよはっちー。

追記ここまで

 

今ふと思ったんですが、フリルタイとか似合う刀剣男士もう一振りいましたね。加州清光。使うアイテムが同じでも色味と組み合わせでこんなに雰囲気が違うものができるんだなあと。
本当にそれぞれに合わせてあらゆる角度から考えられているお衣装だなと感心しきりです。

らぶフェス2018の円盤からは以上です。

 

すみません、もう一つありました。
みんな気づいたやつ。膝丸の袖のお直しの件
若いもんね、成長するよね。ご本人が「すぐに筋肉がついちゃって…」っておっしゃってました。一年前にサイズ合わせて作った衣装を再び着るってなかなか厳しいですね。苦肉の策のお直しだと思うんですが、あれ大変だったんだろうな。

具体的にどこが?っていう説明をしますと、袖の内側に別布を足して袖の太さを出してありました。この別布というのが、ジャケット生地が黒地に銀ラメに対して黒無地だったのでよく見ると目立つという感じの仕上がりでした。

実際に中の人の腕がいい感じに筋肉増してたので衣装がきつかったんでしょう。

袖の直しってアームホール(袖付け)変わるから自分ならめちゃくちゃブチブチ言いながらやるやつです。


この手の衣装って一つの公演の後は着ない(らぶフェスはあったけど)し、1着ずつフルオーダーメードなので生地は必要な分だけ買うことがほとんどです。生地屋さんに行くとロールになって売ってますよね。戦装束みたいに同じのを作り直す可能性が高いとかだと一反(ひと巻き)買って保管したりはありえますが。
さらに衣装に使うような特殊生地は定番品っていうのが滅多になくて一年後に同じのが欲しいとかほぼ無理です。あってもロットが違うと微妙に色味が違ったりするので袖だけ取り替えとかできなくて全部作り直しになっちゃいます。そんな経緯でああいうお直しになったのではないでしょうか。
双騎出陣も決まってたからあの衣装着るの最後だし。(新しいお衣装ができるとそっちを着ることになるので)
体型については役者さんも大変だけど衣装さんも大変ですね。

 

というところまでを 2019/7 双騎前に書いてあったんですが、編集の都合とかそんなので寝かせてました。双騎の記憶が新しいうちに書くにあたり、編集が済んでませんが一旦あげておきます。