刀ミュ衣装についての感想と考察

服飾のプロ目線の刀ミュ衣装についてのあれこれ

みほとせ再演

みほとせ初演もまだ書いてないのに再演を先に書くよ!歌合の前に上げておきたいので突貫感満載ですが取り急ぎってことで。

私はみほとせ初演が最高によかった!大好き!です。多分そう感じた審神者さんも多かったのかなーと思います。この再演は観劇の凱旋までの間に(特にネタバレ回避もしていなかったので)「解釈違い」「前(初演)の方が良かった」と「かっこいい!!!」の両方が目に入ってきました。
なるほどわからん。まあとにかく自分の目で見てみよう、ってことで劇場へ。TDCのバルコニーだったので(しかも双眼鏡忘れた)まあ舞台が遠いしざくっとしか見えないし、処理が追いつかないままに「とりあえず派手だったな」という感想だけです。どうしても初演と比べてしまうのでその方向性というかテーマの違いに唖然。ライビュでまともに衣装を拝見して遠目ではわからなかったところが多くてその点はちょっと『舞台の衣装』としての残念さは感じました。ぶっちゃけると、物吉くんは遠くから見ると全然デザインわかんない配色なんですよ。ライビュで初めてこんなデザインしてたの?!ってなりました。同時に、舞台衣装の難しさをひしひしと感じました。キャパによって”一番遠いお客さん”って変わるじゃないですか。TDCの3バルなんて想定してないよねえ…
刀ミュは後追いなのでつはもの以前の作品は映像で見ています。そして3バルはこの回初めてだったのでもしかしたら他の作品も遠目に見たらわかりにくいところもたくさんあったのかもしれないけど、こればっかりは現地でないとわからないので今回この件に関して辛口になってしまったのはごめんなさい。
初演の物吉くんが大好きだったので肩透かし食った感もあり、一人しょんぼりした劇場観劇でした。
つまらない前置きはここまで、本題に入ります。

 

第一形態

「コート、色すごくね?」が一言目の感想。そして、幾何学模様がいままでにないのでちょっと驚き。で、気づいたんですが村正の模様って風ぐるまっぽくない?(正解はデザイナさんしか知りませんけど)
一番多くのイマイチという声を見かけたコートなんで、どうしてこれになったのか何度も見た結果、意外と良いんじゃないかこれ!!となりましたのでご報告です。

共通点
・衿もとはボリュームを出しつつ軽さのある衿できっちり閉じてます。第二形態を隠したかったんですね、わかります。この衿は昔ちょっと流行った、ギャザー寄せて立体感出す衿です。ふんわりしてるけど綿とか入ってません。

・裾の箔プリント。これが中華っぽいって言われた理由かな?推測としては昔の文化は大陸から入ってきているのでどの辺りを抜き取ってどの方向から見るかで中華っぽくも見えるのかもしれません。この模様はグッズのスカーフに似てると思いますがお持ちの方はどうですか?大倶利伽羅は龍が入っていたり、ぱっと見同じ図柄使ってるのかと思ったら違うみたいで静止画が欲しい。私は和柄だなあ〜と感じました。

それぞれ
シルエットで各キャラの違いが出ます。

倶利伽羅はほとんどフレアがなくすっきり。

物吉くんは膝丈にフレア多めでひらひら。

石切丸は長めの丈に控えめなフレアで優雅。

蜻蛉切はロング丈でフレアもそこそこあるのでどっしりとした印象。

ここまでは割とシンプル。大倶利伽羅はサイドの黒の合皮の切り替えとベルトがかっこいいシャープさを出してます。


青江、あおえーーー!!これびっくりなんですけど一振りだけ裾(スカート部分)にチュール重ねてるんですよ。なにこれ最高。コートの裾はフレア控えめで大人しいのにその上にチュール(透けてる布)をギャザー寄せて乗せることで一気に華やか。同色の紺色だから控えめなのに華やか。好き。


村正は冒頭に記述した通り幾何学模様の切替が風ぐるまっぽいなと思いました。そして彼だけ異質感あるな?と思ったんですがよく見たら他キャラとの共通点も多く、やはり正面のどかんとがっつりした切替に意識が全部持っていかれるから異なって見えるだけなんですね。

 

袖付け(肩周り)・袖下に金のライン、縁取りの金のブレードはお揃いです(物吉くんは銀ですね?白地に映えるからかな)
ボタンが三つなのも共通デザインですが、ダブルになってたりタブがついてたりとアレンジが効いています。
こういう細かいとこでお揃いなのに各キャラの味を出してくる!!見つけるたびに悶える。・・・好き。
ベルト周りもいちいち凝ってるから推しじゃないキャラもチェックしてみてください。

 

マントの色と裏地の色の合わせ方も素敵です。
蜻蛉切:表黒、裏地赤紫→正面の黒の切替と調和
村正:表裏共に黒→いつもなら裏地ピンクにしそうなところを黒にしたことで正面のがっつりした切替デザインが映える
石切丸:表共色、裏地光沢のあるグレー→ベルト(ベロア!)の色と合わせつつ、縁取りやラインに使った金色とも調和
青江:表共色、裏地黒→黒合皮の切替と調和(*ライティングの関係で黒に見えるけど違ったらごめんなさい)
他は裏表が身頃と同じで邪魔をしない色合いです。

 

ところで、まず目を引くのがその色だと思うんですが、蜻蛉切は他の色なかったのかな……なかったんだろうな。
そしてどうしても毎回色味が気になってしまう(もう職業病ですね)のですが、石切丸のそれはカーキだよね。真緑でそのコートでもびっくりするけど、でもカーキかぁ……
やっぱり同じ生地で色違いを揃えるのって難しいんでしょうかね。
倶利伽羅の赤はとっても良い色ですね。加州の真っ赤とは違う赤!


第二形態
これって、ショータイムなのかな?と思ったらパァァっと霧が晴れて素晴らしくしっくりと腑に落ちた!(日本語が不自由)
まず、村正と青江がトップスター(ダンサー)。大倶利伽羅はルーキー。物吉くんがボーイ。蜻蛉切がドアマン。そして石切丸がオーナー。妄想が過ぎる

ショータイムの衣装だと考えるとキラキラ感とネクタイがドンピシャで、えっめちゃくちゃかっこいい!!ってなります。

しかもバックダンサーさん、黒スーツにゴールドのネクタイですよ。完全にそういう店じゃん。ラスベガスのショーじゃん(行ったことも見たこともないけど。イメージ)

ネクタイとリボンに分かれてるんですけど
ネクタイ:蜻蛉切、大倶利伽羅、石切丸 リボン:青江、村正、物吉
この配分すごい!なんで私の好みわかったの?神か!!って一人で悶えました。しかも青江はリボンタイ(山姥切長義くんみたいなやつ)ですよ!!
(第三形態に脱ぐ前にタイ外してくるのも良きなので、人間キャスト太鼓後半で出てくるシーン見てみてください)


村正
本当にかっこいい。前回の彼の衣装は黒とピンク(髪の色)でしたが、今回は黒とホットピンク(キャラ色)です。ここで薄いピンクじゃなくて濃いピンク合わせてるの、最高。黒+濃いピンク+ゴールドでゴージャス!髪の毛と同じピンクを裏地に使ってる。この色の配分が素晴らしいです。そして正面は黒に銀のラメラメ生地とホットピンク、サイドはラメなしの黒。パンツは光沢のある黒。生地の使い分けが巧みです。
エストをキュッと絞って裾を広げたシルエットも妖艶さを演出

ノースリーブと長袖のアシンメトリーはもう驚かないですが、ノースリーブの方に肩章(肩のタブ)がないのは良い選択です。何も考えなかったらつけてしまいそうなところをなくしてて、すっきり。

その分左側にデザインポイントが全部載っています

(デザインのポイントをたくさん置くとごちゃついたりとっ散らかって一番見せたいものが映えない)
右側は黒でシンプルだけど生地を変えてたりベストと裾へのつなぎ目の形がきちっとしてて目を引かれない部分もちゃんと作られている。だから目を引かれる方もより素敵に見える。
そしてですね、フリルタイしてない?ピンクのリボンに気を取られてたけど、シャツと同じ色(に+キラキラ)のフリルタイついてるよね?ね?

あとね、髪飾りも素敵だから見て。


蜻蛉切
ジャケットコートがイイ。ロング丈な上に体が大きく面積があるのでバランスを取るために衿を大きくしたくなってしまうところをあえて小さくつくってある。そしてラペルにタブ飾りをつけることでデザインのインパクがでる。脇にでっかく菱形の蜻蛉さんプリント(って勝手に呼んでる)が入っているので、全身で見たときに衿のデザインとのバランスでどっちも良い具合になってるんです。

この衿(ラペル)のデザインすごい!!引き(全身)がかっこいい!!胸上アップもかっこいいけど。
でですよ、シャツとネクタイがまた…シャツの衿が小さくてネクタイが太い。このバランス!シャツの衿が小さいのはジャケットと合わせてもあるしネクタイのボリュームがあるので、というところ。このネクタイベロアかな?光沢あって素敵。
そして、カフスと肩章に(ラペルも)紫のベロアでしょ。シックなのに麗しい!
ベストも左右で生地変えてんのもニクいよね。

コートの中に裏地ではなくて布を重ねてて、それがヒラヒラすんの(後ろのスリットからも見える)、見て!


青江
あのね、今回一番好き。
濃紺のジャケット、いつもの色(後述あり)。パンツはグレーで上下一緒じゃないんだ?ってなったけど、同色じゃない方が断然いい。(素敵なジャケットがよく見える)

ジャケットは左半身はオーソドックスなテーラー衿に対して右半身は衿なし衿なしっていうか着物みたいな衿に赤を重ねてます。このアシメ、よくやったな??そんで見事にしっくり調和しててしゅごい。(全く別のものをくっつけるってやりたがるの多いけどデザインとして成立させるのはかなり難しいです)

よく見ると左半身が紺色でラペルに赤を重ねてます。折り紙とか熨斗袋の差し色みたいですね。そして、それ以外の部分が黒に細かい銀ラメ生地なんですよ!紺じゃなかった。(カフスは紺地の切替)(赤が差し色になっている件について追記しました)
彼のトレードマークとも言える左肩の白い布は小さく軽く、動きに合わせてひらひらします。反面、腰布はいつもの(源氏兄弟とか)ふわふわじゃなくてしっとりした生地で体を動かした時の生地のなびき方が違うんです。飾り紐も揺れて、その三つ(肩の白い布、腰布、飾り紐)の動きの違いがすごくいい
ブレードと飾り紐とチェーン飾り(金一色じゃなくて黒と合わせてちょっと控えめになってるの最高)の金色も全体を華やかにしつつ引き締めていい仕事してます。
あとね、今回もロングブーツ、ありがとう!!青江って感じするよね。


倶利伽羅
言うことは何もない。
でしょ?え、これもうみんな大好きなやつじゃん??
黒無地じゃなくてパイソン(かな?)の押し柄の生地だとかラペルの赤もギラギラだし、シャツは真っ赤だし、ネクタイなんてレザー(合皮)な上に、シルバーチェーン飾りとかつけてその上革手袋とかさ、こんなの着こなせるの大倶利伽羅だけじゃん!!!!
衿もととネクタイ緩めて審神者の心をどうしたいの?!
まくりあげた袖口が紫なの、いいですね。ふふ。
パンツのサイドの太い赤いラインと腰布が長めなのでジャケット丈と相まって全体のデザインバランスが整ってますね。しかもちょっとゆとりのあるパンツにミドル丈のブーツってところがまたかっこいい。これ、ただの黒いパンツだけだったらちょっとつまらないんじゃないかな。


石切丸
ごめんね、色味の差が気になっちゃってそれどころじゃない。
彼だけなんで和なんでしょう?石切丸もがっつりテーラードジャケット見たかったです。もしくは燕尾とか。
石切丸だから許された感を勝手に感じてます。
腰布が二重で、下にキラキラ&軽い布が挟んであってクルッとしたときに綺麗です。


物吉くん
可愛い。キャラ的には100点あげたい。遠目に見るとシルエットが曲線で女の子っぽく見えてしまったところが残念でした。ジャケットの生地がもう少しハリのある素材だったらカットソーぽく見えなかったのになあ…
このあたりは好みと解釈ですね。
腰のふわふわしたラメ入りチュールは可愛い。可愛すぎて、遠目で女子かな?ってなった一因。
このソックスは戦装束からきてるやつですよね。前回もソックスだったけど今回はショートブーツ合わせててこれも好きです。

 
第三形態
割とシンプル。って思ったけど、よく見るとそんなことなくて、随所にちゃんといろんなものが仕込まれてます。

村正と石切丸はその腰のひらひらどこに隠してた?!(第二形態でほとんど見えない。よーく見てると村正は濃いラメ布チラ見えする程度)
倶利伽羅は、ほらーみんな好きなやつじゃん。大倶利伽羅に着せるならこれってやつじゃん。タンクトップのゆとり感が最高。
青江は右に寄せた裾スリットが素肌がちらっと見えそうな長さなのすごい計算。そして背中で私は死んだ。
物吉くんのバミューダパンツ(しかもハイウエスト)にサスペンダーはグッドチョイス!
蜻蛉切はめちゃシンプル。トップスのドレープがキレイに出るようにちゃんとパターン作ってひだの位置調整してあります。これはただだらっと着てるだけじゃないです。

 


突貫で書くとか言ったの誰だ。PC向かって1日が終わりました。(向かう前に十数回見てる)
みほとせ再演もかっこいいよ!ありがとう!!比べるものじゃない、その時その時の目の前にあるものをちゃんと見るのが大事だよね。
今回の私の一番は青江でした。村正と僅差。きっといい席で生で見たら村正だったと思う。

 

上から目線みたいで烏滸がましいんだけど、デザイナーさんの引出しがどんどん増えていってて思いがけないところから飛んできたものが予想外のところに着地する、みたいなデザインされるんですよ。とらわれず縛られず発想が面白くていろんなのをミックスしてくるところがすき。
ぶっちゃけ刀剣男士にみんなが好きそうなかっこいい服着せときゃ及第点じゃないですか。でもそういうことじゃないんだよね!そうだよね!!って脳みそ揺さぶられる。
あと、誰かが好きだと言ってても自分には響かないのもあるし、逆にイマイチだったと聞いてても私としてはおおおってこともある。そのへんは好みの問題ですね。

 

 2019/09/11 追記

青江の衣装に赤が使われている件の考察

「キャラクター衣装に入っている色のみで作るという原則」装苑2018年9月号より引用があります。

(キャラの色・髪の色が使われていることはあります)

青江の戦装束に赤使われてないじゃん?

みほとせ初演で、ジャケットのラペルの飾りが左右で赤色と金色です。この時その理由が検討つかなくてかなり考えて図録でやっと気づきました。

瞳の色じゃん!!

青江がオッドアイってのは知ってたんですが、当時キャラを全然把握できてなくて青江推しなら知ってて当然のことなのでそこはすみません。いまだにキャラの瞳の色半分以上言えるかあやしい

青江の戦装束=紺色・白色・金色・黒色(+ブローチの色)という地味な色合わせの中に赤色を差し色にすることで全体がパッと華やかになり、紺色も映えます。

着眼点すごい!!

 

実は葵咲はチケットが取れなかったので(かなり本気で挑んだので逆にすごい)、ライビュ(&配信)待ちなんですが今回は事前情報を全部シャットアウトして臨みたいと思います。
歌合初日までに着用してくれるだろう衣装(むすはじと葵咲)を書きたいです。