刀ミュ衣装についての感想と考察

服飾のプロ目線の刀ミュ衣装についてのあれこれ

『あいどる江』を彩る作り込まれた衣装〜江 おん すていじ ぜっぷつあー〜

とりあえずびっくりした初見。ギラギラジャケットにキラキラ衣装。
これは…2000年前後の男性アイドルを思い起こさせる!

『篭手切江プロデュースのアイドル衣装』がコンセプトでは?!


ところで『アイドル衣装』ってどんなイメージがありますか?
私はアイドルを通ってきていないのですが、なんとなく普遍的なイメージとして
インパクトがある』『揃い』『キャラ色(メンカラ)』『目立つ』
そして『ちょっとあか抜けないかんじもある』ような気がします。
(”あか抜けない”を言い換えれば『採れたての根菜』『フレッシュ』『磨く前の原石』)
この”あか抜けない”は”ちょっとダサい”になるかもしれません。しかしそれが「親しみやすさ」や「魅力」となる面もあるのかなと思います。

ちょっとイメージがわかないなという方は「(某大手男性アイドル事務所) デビュー 衣装」などで検索してみてください。グループ名を入れてみるのもいいかもしれません。昔歌番組で見たことあるかも!というのが出てくると思います。

 

本題です。

今回の新衣装は二着。お揃いのオーロラカラーのジャケット と ペアの衣装。
「江」と「水心子と大典太」は分けます。『あいどる江』と『特例出陣の二振り』だからです。

 

新衣装一着目 お揃いのオーロラカラーのジャケット

あいどる江

(江集合写真)

 

インパクトがある』『揃い』『キャラ色(メンカラ)』『目立つ』
アイドル衣装の要素、全部入り。

 

ギラギラのオーロラカラーの生地、キャラ色の太めの縁取り。
過多な装飾(たくさんのベルトやタブ)は若干の垢抜けなさを演出しています。
足し算しかありません
こういうアイドルいる(概念)と思わせられます。

しかしそれだけではないのが刀ミュのライブ衣装。
刀剣男士(キャラ)らしさがあります。

 

豊前 前のあきが深い)

(篭手切と松井 インナーの首元に注目)

前の開きが深い豊前、シャツ襟とアスコットタイ(かな?)の篭手切、首もとが詰まったエレガント松井(ブローチと金の細いチェーン)

 

 

(雨さん雲さん)

五月雨は安定の黒のハイネック。

縁取りはキャラ色で統一している中で、村雲のインナーは黒の縁取りです。
これはピンク色の分量の調整だと思います。黒だとぐっと引き締まってジャケットのピンク色も映えますね。

 

 

(桑名)

桑名はいつものフード付き。(ですが、謎のファーとフードの紐をグレードダウンしているように感じるのでそこは”ちょいダサ”の演出なのかなと思います)

(江全身 松井に注目)

(松井)

松井の裾の切り替えが最高。全部オーロラカラーではなく青い布をいれてあるんです!しかもプリーツにたたんであります。
動きに合わせてひらりとします。ここの生地は身生地(オーロラカラー)と質量が異なるため、ひらみに変化が出ます。


水心子と大典太

(水心子と大典太 クリックで大きくなります)

(水心子)

大典太

かっこいい。それ以外の言葉いらないくないですか。

水心子の首元のベルトのバックルがアクセントでめちゃくちゃかっこいい!
縦に入った編み上げも素敵。

大典太はこれまた着丈140センチとかですかっていうボリュームがいい。
袖の丸い鋲がかっこいい。
そして全身黒の中の赤いチョーカー!

二振りお揃いの、腰についたシルバーのチェーンが好きです。

 

 

二着目 ペアの衣装

あいどる感が強い

桑名・篭手切

(桑名)

(篭手切 自撮りなので反転)

  • 上下白(アイドル衣装の王道)
  • キャラ色を随所に使う
  • ベルトとタブがたくさん
  • トップスの微妙な丈感(桑名の脇腹チラ)
  • 曲線とパステルカラーで柔らかさとかわいらしさ
  • 襟のキルティングステッチとパール飾り(パールは黄緑色と黄色!)
  • 篭手切の半袖+アームカバー、桑名の七分袖ジャケットと萌え袖インナー

絶妙なダサ感とかわいさとかっこよさの組み合わせがアイドルじゃん!

上襟にライン(戦闘と同じ)が入っているのは刀剣男士らしさですね。

 


五月雨・村雲

(五月雨)

(村雲

  • かっこいい系アイドル衣装
  • 謎のベルト
  • ラペルがギラギラ
  • 対のデザイン
  • メッシュというより網なインナー

スタンドカラーとラペル(襟の下の大きい部分)のギラギラした生地は通常なら選ばないやつだと思うので、これはアイドル感かなあと思います。
トップスの丈が長短で対になっているところ と 雨さんの腹筋は見せる に刀ミュライブ衣装の流れを感じます。スタンドカラーの内側が緑色なのもいいですね。

 


豊前・松井

豊前・松井全身)

豊前 フリル)

(松井 フリル)

(写真2枚目3枚目)

 

往年のアイドル衣装(イメージ)
ボリュームのあるトップスとコンパクトなボトムス

すごいなーという単純な驚きで終わりません。

フリルのアレンジが細かい!巧妙に作り込まれています。

  • パステル調の色
  • 体型に合わせたフリルの使い方をしてある。(がっしりした豊前は胴に細かいフリルをあしらい、細身の松井はたっぷりしたおおぶりのフリル)
  • フリルの色は一色ではなく、濃い色と薄い色を重ね使いしている。
  • 大きさと色の異なるパールを数種類使っている。

 


ペアの衣装にはそれぞれテイストの異なるアイドル感が、ボトムス+靴には刀剣男士のキャラ感が出ているなあと思います。(ボトムス+靴は新衣装共通)

 


水心子・大典太

かっこいいありがとう。

水心子

(水心子)

 

口元ガードなくて大丈夫ですか?かっこいいです。
ジャケットのベースカラーが黒ではなく濃紫、ラペルが黒。しかも襟の縁取りがかなり太いシルバー+シルバーのチョーカー(もちろんインナーはハイネック)という組み合わせが最高にかっこいい。胸上(お顔周り)にデザインポイントを盛っているのでウエストのベルトはさらっとしています。
半袖なのも肩マントも似合いすぎてて五体投地する。肩のマントに入った紋に死んだ(オタクすぐ死ぬ)。

 

大典太

大典太

 

身頃(ボディ)が光沢生地で前の半身だけマットな生地なの素晴らしすぎる。えー天才。
その上袖がパフスリーブ!大典太さんにパフスリーブ!(大事なので二回)
ジャケット丈がなんと長くないです。そこにジャケットより長い丈の赤い腰布。この赤が映えてものすごくかっこいい。チョーカーと腰布の赤の使い方最高
素材(キラキラ・マット、厚めの生地・袖は薄地、腰布はさらりと軽い)の組み合わせが素敵です。

 

水心子と大典太の二振りは脇にベルトタブがついています。これはかっこいいアクセントですね。

余談ですが、大典太は動くと前のあきが開くのですが水心子はどんなに踊っても前の打合せがぴったりしているところにぐっときました。

 

 

篭手切江がプロデュースしたアイドルの衣装だと受け取りました。
ただ漠然としたアイドルのイメージではなく、そこに刀剣男士としてのキャラらしさを盛り込んだ、緻密に計算された『あいどる江』だったのではないかと思います。

水心子と大典太はもういつものかっこいいやつありがとう。

『あいどる江』と『水心子と大典太』それぞれが個性豊かで合わさると相乗効果でより”らしさ”が引き立つ衣装だったなあと思います。

全員集合

 

ところで突然始まった銃撃戦(「ストレンジャー」の前)の黒ずくめの三人(桑名・大典太・水心子の三振りでした)の服装が気になります。トレンチコートっぽいトップスに見えました。桑名が黒を着るのは珍しいですね。三振りともかっこよかったのでもっとじっくり見たかったです。

 

デザイナーさんはどんなコンセプトでもしっかりがっつり作り上げてきてくれるんだ!という信頼感しかありません。次も楽しみです。

 

 

文:ミント( id:pmintgreen / X(旧Twitter@peppermint_112