刀ミュ衣装についての感想と考察

服飾のプロ目線の刀ミュ衣装についてのあれこれ

【編集後記事】刀ミュ全公演に共通する、二部衣装についての感想


全公演の二部衣装について


2017年の初めてのらぶフェスで刀ミュにとっぷり沼に踏み入れた私は、さっそくdアニメストアで過去の公演を全部見ました。(dアニ便利ですねー)

 

全公演を一気見したせいで、公演を重ねる毎の改良や工夫、試行錯誤の跡を垣間見た気がします。

回を重ねて良くなっていく=良くしようと努力しているということです。

 



個人的な意見ですが、仕事に対して向上心とプライドがない人は好きにはなれません。二部衣装のデザイナー農本美希さんdアニメストアでの視聴時は)全然知らない人でしたが、かなり好きになりました。

 


装苑2018年9月号の特集「進化する衣装の世界」で農本さんのインタビューが載っています。(三万年ぶりに装苑買いました) 

装苑 2018年 9月号 (雑誌)

装苑 2018年 9月号 (雑誌)

 

 

「基本の大前提にあるのは、『役者がかっこよく見えること』」

「そして『衣装だけを見てもキャラクターを物語るものであること』」

「役者の動きによるステージ映えを意識する」

「『見せて最も美しい部分』をデザインに落とす」

 装苑2018年9月号より抜粋・引用

 


これらは刀ミュの衣装を観て、まさに私が感じたことでした。

装苑を読み、農本さんがこちらの想像を上回る熱量で「ミュージカル刀剣乱舞」の衣装作製に真摯に取り組んでいる様子がインタビューから伝わり、とても好感を持ちました。
なんならファンです。あと十歳若かったら働きたいです。


今後も公演ごとの衣装の感想を書きますが、上記引用部分をベースにして語ります同じことを何度も書くような気がしていますが見逃してください。

 

 

 

 

 


舞台から感じたデザイナーのこだわり

全公演を通し二部衣装に対して感じたのは、6振全体の統一感を大切にしつつ、各キャラクターの個性を出していること。

「三百年の子守唄(初演)」では軍服モチーフを使用、「つはものどもがゆめのあと」は和テイスト、「結びの響、始まりの音」ではお揃いのパーツとしてファーを使用するなどして統一感を持たせている。

その上で、それぞれ細部のデザインを変え、キャラクターの個性を出している。

 

 

 

そして何より萌えポイントを押さえている!!!

こっちを萌え殺す気かと本気で思いましたね。

 
 
 
デザインに上手く差し色を使っているところがデザイナーの農本さんの凄いところだと思います。柄生地と無地、織柄生地とラメ、合皮、ファーなど素材の選び方にもこだわりが見えます
ブレードなど装飾パーツの使い方もうまく、これにより『舞台映えのする派手さ』と『刀剣男士としての品』を両立させていると感じました。
 

「キャラクター衣装に入っている色のみで作るという原則」

装苑2018年9月号より引用

 この原則のなかで、使う色と分量が工夫されている。(例えば村正ってあんなに色数が多いのに、二部衣装ではほぼ黒と差し色のピンクで衣装を作っています。)

 
 
 
 
 
 
 

 初観劇の際、予備知識なく観劇して感じたことですが、キャラが衣装をバッと脱ぐ姿には驚きました。
予想の上を行く衣装の変化は、観客のボルテージを更に高める効果があります。
第三形態までの衣装変化もパフォーマンスとして計算され設計されていると感じました。

  

第三形態は観客のツボをついてくるデザインがけしからん!!もっとやってください!デザイナーさん最高!!
 


デザイナーさんも俺らの仲間かな?って一瞬思いましたけど多分違いますね。

人の身体には美しく見える部分や、見せると下品になるところがあるんです。レディースを例に挙げると、腕の付け根、脇の下が服からチラ見え見すると品がなくなるから意識してパターンを引けと教わりました。デコルテは上手に露出すると美しく見えます。
 
それぞれの体型の違いも重要です。その人が一番きれいに見える丈や形は違います。女性だと身長や脚の形によって似合うスカート丈が違う話は一般的ですよね。
 
───ファッション誌でもよくありますよね。同じ服が体型別にどう見えるか検証してるの。最近は骨格診断なんかもあるから、ピンと来る人は多そうです。
 
そうそう。そこも踏まえて、すごくよく考えて作られている衣装だと感じました。
 
 
 

今思い出しましたけど、公演の記憶が飛んでるのってこの第三形態のせいなんじゃないかな。らぶフェスでもびっくりしてガン見してたけど、それよりも近くでこんなの出されたらさあ…隠す美しさと見せる美しさのバランスが絶妙すぎます。(見惚れない人いなくない???)
よく生きて返って来れたな、って思いますね。

 

───特に舞台が近いと破壊力がすごいですよね。細かいところまで見えるし。あとはファンサに被弾して衝撃で記憶が飛んだり。ミントさんは某キャラのファンサの流れ弾に当たったことも、記憶喪失の原因なんじゃ?
 
 
そうかもしれない…?
 
もう数えきれない程に各公演を再生しているので、最初は「かっこいいー」とぽけーっと眺めていましたが、だんだんこのかっこよさはどこから来るのか? このメンバーでこのキャラにこのデザインを持ってくるのは何故か。そんなことを考えながら見るようになって、こんな風になりました。
  
 
───そもそもの着眼点が違う上、だいぶ考察を重ねてますよね。これから話を聞いていくのが楽しみです!
次回はミントさんが好きな「つはものどもがゆめのあと」の衣装について話してもらおうと思います。(以前のエントリから大幅に加筆修正しています)
 
 
 
 
 
 
( 語り・原文:ミント(id:pmintgreen)、聞き手・編集:かんそうぶん(id:Bn295