刀ミュ衣装についての感想と考察

服飾のプロ目線の刀ミュ衣装についてのあれこれ

江水散花雪 二部衣装

ざっくりしたことは前回書いたので、今回は細かい個人的萌えたポイントを叫びます。

初日の配信+ディレイでの記事はこちら

peppermint.hatenablog.jp

 

 

 

四度見した 南泉のネクタイの裏

赤いネクタイの裏側が三毛猫柄なんて、どうやったら思いつくんです???

天才通り越して神ですね!

南泉のネクタイの裏が三毛猫柄

 

そして、凝った衿まわり

赤い縁取りに見えていた衿は二枚重ねになっていました。重ね衿の下が赤、上が南泉の戦装束のシャツと同じ柄。そこに菱形のスタッズ(鋲)が付いてます。
金の華奢なチェーン+スタッズという異色の組み合わせでエレガントとヤンチャ感がいい塩梅になっています。

 

 

 

金色の刺繍装飾

3.16追記あり

前回「装飾に金色の刺繍モチーフ」と書きましたが、訂正します。
こちらはよく観察すると「刺繍モチーフ」と「刺繍」の二種類です。

刺繍モチーフというのはこれ↓ 。様々な形があってアイロン接着や縫い付けて使います。

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刺繍モチーフ



肩の装飾は刺繍、身頃はモチーフ貼りかと思います。じかに刺繍してある方が厚みが少なく、生地に馴染みます。

---追記3.16---

チュールへの刺繍を生地に乗せたものではないか?とのご意見がありました。
モチーフ刺繍よりも薄く使い勝手が良いので、その可能性もありそうです。
チュール刺繍は土台のチュール(細かい網々の生地)がやや残りますが、チュールは乗せた生地に馴染んで目立たなくなります。
天狼傳初演の兼さんの第二形態のジャケットの肩のスタッズの上にチュールの覆い布がありましたが、衣装展示で初めて気づくくらいの目立たなさです。
今回の大包平のラペル(衿)は見返しまで刺繍模様が入っているので、チュール刺繍を乗せたものかもしれません。
まんばちゃんと小竜くんの肩は、袖の山のカーブが綺麗なのでどうなのかなあ…(チュール生地でここまで綺麗にカーブを出すのは難しいので。でも農本さんならやりそう…)
現物を目の前で見ていないのに言い切ってしまってすみません。実物を近くで見たいです。

---追記ここまで---

南泉のジャケット衿の縁取り・小竜の肩 の装飾が刺繍、南泉の袖口はモチーフ貼り

大包平のジャケット(ラペル、身頃)はモチーフ貼り

それにしてもこの二種類の金色の装飾は見ばえが素晴らしいですね。刺繍でここまでの装飾をした二部衣装は初めてかと思います。
特に肩の部分はカーブしているし腕を動かす時にシワが寄るので、この面積の装飾は刺繍だからこそできたのかなと想像しました。

南泉のジャケットの衿の縁も緩く長いカーブが綺麗。

 

 

 

小竜くんについて

あのですね、どの形態も好きすぎてヤバイです。ヤバイしか出ません。

まずジャケットのシルエットが完璧。
その上に ウエストの覗き竜、紋をあしらったブローチ(しかも黒いリボン付いてる)。織模様のある上品な生地とレザーの組み合わせ。

小竜全身。優美

小技というか、細かいところまできっちり作られているなと感じる部分の一つが小竜ジャケットの袖口。
フリルが出る長さは、外袖側を長くすることで美しく見えるんですね。

小竜のジャケット袖口のフリル  


第二形態はレースフリルたっぷりのブラウスをラフに着こなす
サスペンダーはボタン留めスタイル!腰に金の装飾でエレガント&華やかをさらにプラス。
モノクロに添えられたキャラ色の腰布。
拝むしかねえ。

小竜くんの第二形態が美しい


第三形態は、第一二と色味を抑えてきての…カラードーン!!が好きなのですが、これはらぶフェスに期待します。

 

 

 

大包平、二種類の赤

第二形態は、黒と真っ赤です。そこにジャケットの臙脂色(濃い赤)。

デザインのセオリーとして色数を多くするとまとまらない、近いけど異なる色同士を組み合わせるのはちょっと難しいというものがあります。

ですが、今回の大包平真っ赤と濃い赤を使っています。

しっくりくるのはジャケットの濃い赤が髪色に近いからかな。そして、表地が濃い赤のジャケットの裏地に真っ赤を合わせることでトータルの統一感が増します。

全部を濃い赤にしてしまうと、華やかさが減るのと他のキャラと色が被ってしまいますね。ここの二つの赤の使い所と分量のバランスが素晴らしいと思います。
真っ赤な切替デザインから受ける、堂々たる華やかさ大包平味が全開です。

大包平のジャケットの裏地が真っ赤

大包平第二形態は赤と黒

 

 

和泉守兼定の奇跡

きちんと考えられているので奇跡ではないんですけど、奇跡的な、もうほんとに神がかった絶妙な組み合わせなんですよ!!

黒で揃えているけれど実は…

 

まず、三揃いではないこと。

ジャケット・ベスト・パンツ が全て異なる生地です。

しかも二種類の織柄生地とレザーという個性的な生地をチョイスしてます。一ミリでもしくじったら個性がぶつかり合って良さが死滅するやつですよ。それを寸分の狂いもなく、バチっと決めてます。すごい。


衿まわりの組み合わせ
(前回の記事でも触れました)

ジャケットのラペル(衿)の紋が引き立っています。
全体が黒の中の臙脂色が目を引きます。ジャケットとベストは黒に対してラペルの臙脂色です。
白が差し色になっています。ネクタイベストの縁取りです。

ここでシャツが全部黒だったらどうでしょう?
ラペルの臙脂色が浮いてしまいます。
シャツの身頃は赤・衿は黒とすることで調和がとれています。
しかも金のチェーンに飾りの石までついてますね。なんなんでしょうか、最高ですね。

ちなみに、ジャケットの上衿の金色模様は刺繍・身頃はモチーフ貼り、シャツの衿の模様はプリント、と予想しました。

兼さんのトップスの色合いと生地の合わせ方をみて欲しい!

 

全身で見ると、金色の縁取りも手袋と合わせていい仕事してますね。

ながーい腰布も素敵。これ、裏地が浅葱色じゃないところがグッドチョイスですね。
正面から見たときの黒と臙脂色の面積がいいバランスしてるなあ。
この長い腰布をさばく姿が好きです。階段を上がるときにちょっと持ち上げたり、踊るときにまとわりつくのを脚でさばいたり…ありがとう、布。

 

第三形態になると、腰布の表は赤・裏は浅葱色になって印象がガラリと変わるのも面白いです。

 

 

 

まんばさんの隠せない美しさ

白と紺にオレンジの差し色は戦装束そのままなんですけど、なんですけど全身から漂う高潔さ。
なんで?

例えば、紺と白は堀川もなんですけど、彼は優等生感と隠した鋭さみたいなものを感じるんです。

まんばさんは綺麗なんですよ。
金色の装飾とか白色の使い方とか全体のフォルムとか、一つ一つが合わさって全体のイメージになっている という感じでしょうか。
まんばさんは綺麗!!!(二度目)

まんばちゃん上半身。フードが目を引く

 

ジャケットの前側のデザインが礼装の燕尾服なんですね。+ベストの燕尾裾で 燕尾服が出来上がる というのは面白いですね。
礼装タイプの燕尾服とフードと六分袖って、よく考えたらはちゃめちゃな組み合わせです。
それをまとめたら美しく気高く強いになるんだから、どうなってるんでしょう???やはりデザイナーさんは神なのでは。

 

ところで、兼さんは異なる生地と書きましたが、まんばさんは同じストライプを使っています。
「シャツとベストの切り替えとジャケットの一部」が同じストライプです。
ここを統一させることで余計な要素がなくなり、フード・差し色オレンジという個性が強い部分とぶつからずに良いバランスになっているのかもしれません。

シャツとベストの一部がストライプで揃い

 

 

肥前くんは殺傷能力が高い

初見は、あーウンウンかっこいい。レザーとか肥前くんぽいよね!って思ったんですけど、彼もまた一つ一つが凝っていて発見する度にウッってなる。

垂らしただけのネクタイ
鈍赤のベルト飾り
装飾がシルバー肥前くんだけ!)

ここまででもう拝み始めるんですけど、

第二形態でよく見える腰布、クロコダイル型押しですね?
薄いフェイクレザーで一部分だけギャザーがよせてあります。そのため、体にしっとりと沿いつつ、後ろ姿ではギャザーのよる表情の変化も楽しめます。
ショートジャケットとタイトパンツなので、後ろ姿では腰布がのっぺり見えてしまうのをギャザーで変化をつけることで回避しているなと感じます。

しかもこの腰布、下にラメ生地重ねてありますよ。チラッとしか見えないのに、こだわりを感じます。ありがてえ。

 

肥前の腰布の内側にラメ布が重ねてある

肥前の腰布はクロコダイル型押し(?)

第三形態はもうなんもいうことないですね。お写真ありがとうございます。

こちらの腰布は半分ずつ無地と柄だったのはお写真で知りました。第三形態って時間短いですよね。

肥前第三形態

 


今回は赤と黒の男士が多かったですね。

その中でそれぞれ個性的でキャラらしく、他の色のキャラも合わせて揃ったときの見栄えもふまえたデザイン。

毎回、かっこいい!!けどそれだけじゃない、たくさんの工夫と秘密が詰まっているなと感じます。

第二形態集合 赤と黒が多い


最後に、今回はダンサーさんが全員違うデザインでした。(心覚もそうでしたが)
ダンサーさんの衣装まではなかなか目が足りないのですが、配信でじっくり見てみたいと思います。

バリエーションのダンサーさん

 

 

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