刀ミュ衣装についての感想と考察

服飾のプロ目線の刀ミュ衣装についてのあれこれ

葵咲本紀の二部衣装と江の戦装束について

本公演はどうしても長くなってしまうごめんなさい。要点だけなら太文字でオッケーです。これでも端折って短くした(つもり)。なんかテンションおかしいのはすまない。

 

色の抽出

今回一番スゲェってなったのは、実は『』。
【戦装束にある色でデザインする】っていう前提があって(装苑でのインタビューより)、それであれってすごない?


明石と村正は黒被りで、緑被りのこてくんと御手杵(しかも先に緑メンバー石切丸がいる)。
鶴丸なんて白と黒とグレーに金色だけ。試しにデザイン考えてみてって言われても詰むじゃん。無彩色は色じゃねえ
御手杵も明石も色数という点では少ないけど色味がない鶴丸はマジで?!ってなる。

 

こてくんはイメージカラーの方のグリーンをチョイスしてアクセントにオレンジ。
御手杵は戦装束のグリーンに差し色は紫。
蜻蛉さんは紫。差し色に赤紫!
問題の鶴丸はなんと赤を差し色に持ってきた。鶴丸のセリフからの赤。無彩色に金と赤を入れることで一気に華やかになる。(しかもその分量と使いどころが絶妙)
明石は黒+紺色に白と赤を差し色でシックに。衿に大胆に白と黒を使うことでクールな印象。柄布も地味な色合い。だけど全体は全然地味じゃないし明石感ばりばりに出てる。
村正はいつもの黒とホットピンク。
色の抽出がうまい!

色に関してはカラーチャートを各キャラで作ってるのではないかと思っている。
このキャラに使う色はこれ、っていうやつ。公演ごとにキャラのイメージのぶれがない理由の一つ。
(他にはデザイナさん自身でキャラに対するイメージをかなり固めて--時にはすごく調べたりして--いるのではないかな)

 

柄の使い方
柄と色無地を合わせる時の上手くいくポイントとして『柄の中に合わせるほうの色が入っていること』(これは普段の着こなしでも使えるので是非)


一振りずつ解説(読み飛ばしてOK)
蜻蛉切:差し色とした赤紫をベースとした柄生地。落ち着いた色合いと模様でどっしりとしたイメージ。
村正:柄生地の面積が多い。黒地に花が咲き乱れ蝶が舞う華やかさがありながらも、全体の色調が「黒地と白っぽい花」でまとまっていることで妖艶だけど下品ではない。白い腰紐と合わせて全体がメリハリのあるデザイン。
明石:シックな色合い。柄の中の渋い色、銅色を他の装飾と合わせている。柄生地の面積が少ない。
篭手切くん:この生地よく探したな?!っていうか、こてくんカラーグリーンと深い緑をれぞれを上手く組み合わせている。二種類の柄布。袖は深い緑〜爽やかな水色に大きな柄。この緑と対称的にもう半身に深い緑のジャケット。それだけでも十分かなと思いきや裾の切り替えと衿に別の柄布。こちらはこてくんカラーと喧嘩しない&もう片方の大柄に対して小柄をチョイス。
御手杵半身頃全部柄。しかも色関係ない。図録確認したよね。インナーの柄と武具から抽出した色味派手なのに落ち着いてて日本語が不自由。御手杵ってなんか地味なイメージですが(失礼)、並んだ時に負けない存在感がある。この大胆な柄使い。
鶴丸:黒地に金と白の刺繍の布ね、はいはい。で終わるわけないじゃん知ってた!この半分ジャケットの柄なに?!鶴だよ!これがいい具合の色合いでそして赤が入ってます。ここにしか赤ないんです。この柄ジャケットだけでブワッと華やかになる。赤はポイントだよってことで片耳イヤリングもうまい。(みんな死んだよね、片耳イヤリング)

 

 とにかく柄生地の選び方と使いどころが今回もすごく上手でした。舞台映えする、下品にならない、調和のとれたものすごいバランスでした。
反物かな?という生地と通常の布地の部分があって、その辺りを全く違和感がなく合わせている。


和と洋のミックス
もう一つのすごい点は和と洋のミックス。
なんで?なんでこれできた?まじかよ!やべえな!頭おかしい天才!!!ってなった。劇場で叫ばなかった自分を褒めたい。

 

和裁と洋裁についての個人的な見方による解説(面倒な人は読み飛ばしてね)
和裁(着物)は反物に最低限のハサミしか入れないで、解くと反物に戻せるくらいに切り捨てることをしない。
直線をそのまま縫い合わせて、できあった着物はたたむとぺったんこになる。
反物は基本的には幅と長さが決まっていて(現代は需要に合わせて色々あります)、サイズは丈くらいしかないので着付けの時に余った分は脇に寄せて前後正面が綺麗に見えるように整える。
長身で反物の長さが足りない人は二反使って仕立てたらしいよ。(兼さんの軽装の左右の色違いはそれなんじゃないかって言われているね)

洋裁(洋服)はカーブで切って縫い合わせて立体にする。着る前から体の形になっている。


立体の洋服と平面の和服を左右で縫い合わせようって考えが常人じゃない。

全振りの共通点として右側が洋服の作り、左側が和服の作りです。衿や袖つけを見るとわかりやすい。

そもそもパターン的な考え方からいくと全然形の違うものを組み合わせるの?は?ってなるし、
デザイン面から考えて、それぞれ既に完成されたスタイルを無理やりくっつけて全体の調和が取れるわけがない!
が、すっごく綺麗で何の違和感もなくしっくりわーかっこいいー!!ってなったよね。
デザイナーさん天才だな!!(二回目)

みほとせ再演の青江はこれの布石だったのか?!と思いました。

 

左右半分ずつで和と洋なんですが、和(平面)である方でも洋裁のダーツを取り入れてあったりするんです。
鶴丸と村正のお衣装でいうと、右側は和作りだけどウエストをすっきりするためにダーツを入れてあります。で、その下のベルトからの裾の短いところはフリルを寄せてひらひらっとさせてある。

分けない、ただくっつけただけじゃない、融合


全体的に上半身はすっきりと仕上げて、裾にひらみを出してます。

上半身の身頃をすっきりさせることで着物袖の存在感がUPする。そして体の動きに合わせて袖と裾がなびく
鶴丸と篭手切くんにはそのひらみにも工夫があって、裾部分のボリュームを出さないシルエットを保ちつつ動いた時にヒラリフワリとするために後ろ中心にインナープリーツ(内側に向かったタック)がひっそりと入ってます。
プレス(折り目つけ)をしていないので動いた時にふわふわします。薄い軽い生地だからこそできることです(そして、そういう生地だからこそギャザーやフレアにしてしまうとシルエットが広がってしまうのを避けたくてこの手法なんだと予想)

御手杵は後ろにタックプリーツが入っていてすっきりしているけど動くと布の分量があるので広がる。

 

なんかもう匠の技みたいになってない?人間国宝にしよ?

鶴丸とこてくんの、ジャケット風のを片側だけっていうのも斬新でした。度肝抜かれた、かっこよかった!!

 

 

書きたいことはすごくいっぱいあるんだけど、とっ散らかるからこの辺で。
最後に、靴のチョイス最高!!!百億点
村正の編み上げ紐パッションピンクなの最高。こてくんがブラウンとかさー…物吉くんもブーツ黒じゃなかったな。蜻蛉さんは今までワイドパンツにショートブーツが今回はジョッパーズにロングブーツでメリハリつけてきた。鶴丸は編み上げブーツでもよかったなと一瞬思ったけど、それだと腿の金色の飾り紐が映えないんだよね。


 鶴丸のパンツの紐は何で飾り結びじゃないの?ってのを見かけたので、あれは上衣のベルトに飾り結びがついてるからだと思う。両方飾りだとうるさくなる。

がっつり和と見せかけてパンツは普通に洋だし、最終形態もかっこよかった。
あとね、今回はインナーの衿が着物の重ね衿みたいに見えるようになってて面白かった。(こてくんの重ねた色が白とかだったらきっとイマイチだったと思うのであの色の選択とか本当に素晴らしいですね)
クッソ凝った装飾たくさんしてあるからじっくり眺める楽しみ方もできると思います。

 


江ファミリーの戦装束について
書き忘れるところだったあっぶねえ。歌合も終わって謎が解けた(気がする)のでここで書いておきます。
篭手切くんの戦装束がキャラデザと色味が違うんですよ。キャラデザの緑はもう少しくすんだ色でジャケットの縁取りはアイボリー。防具の紐もアイボリーです。
衣装は真緑で縁取りは真っ白
あおさくだけの時は、他の緑被りと差別化???と不思議だったのですが、歌合で桑名くんと松井くんを見て納得。
桑名くんのパーカー白じゃん!松井くんのドレスシャツ白じゃん!豊前くん図録見たらシャツ白じゃん。
インナーの色が白でジャケットの縁取りがアイボリーなのはキャラデザがそうなんだからそのままでもいいと思うよね、思いました。なんで変えた?

 

簡単にいうと使う色数を減らしたかった

色数が多いとガチャガチャした印象になってしまう。
ジャケットの緑をキャラデザのくすんだ色ではなく真緑にしたのは他の色とのバランスからかなと思います。差し色が桑名くん真っ黄色、松井くん南国の海みたいなブルー。彩度を寄せたというか……
篭手切くんと豊前くんは図録から、桑名くんと松井くんは刀帳で確認しました。
絵師さんが違うからかこてくんと豊前くんのジャケットの色も微妙に違ったけど、2.5になって舞台上に上がるときは同じ色を纏うのだと思うのでそのあたりの調整も衣裳デザインの仕事なんですね。
はー、すげえなあ。江は揃うと良さが増しますね。

 

感想、励まし、質問などはこちらへ。

質問箱 https://peing.net/ja/pmintgreen?event=0

回答はTwitter https://twitter.com/peppermint_112で。回答不要の場合は明記ください。

 

すごくどうでもいいことですが、こんな大予想大会を繰り広げていて、実は全部違ってたりしたら笑えるな〜。それでもいいから二部衣装の写真集図録出して欲しい!

 

歌合

葵咲本紀もまだ書いてないけど記憶が新しいうちに歌合の感想です。
現段階で配信を見れていませんので(ディレイ待ち)、会場で見て感じたこととキャストさんのTwitter写真などからの萌語りです。いつも萌語りですね。はい。
最初にざっとした感想、後半に細かい解説?考察?です。後半はお暇な方はどうぞ。
今回は蜂須賀様の魅力にやられっぱなしでほとんど彼を見ていて終わったと言っても過言ではないので、いつもに増して内容に偏りがあります。
みんな好きなんですよ!でも目が足りないでしょう?あと20公演くらい見たかったですね。

 

白衣装
『神様感』と『とうらぶっぽさ』はどこから来るのか

冒頭から度肝を抜かれた神様な白衣装ですが、どこかで見たような気がするけどどこでも見たことがないお衣装です。「わあ神様だわ」ってなった。
狩衣テイストは刀剣乱舞っぽさがある。でも、下衣がストンとした形だと狩衣のイメージが強くなってしまって三日月とかの平安衣装になってしまう。それはちょっと違う。
ギャザーたっぷりのスカートはギリシャ神話の神様や邪馬台国卑弥呼みたいな”太古の神様””布を纏うだけの古代”を彷彿とさせる。
このミックスが刀剣の付喪神っていうのにとても相応しいデザインだなぁと感心した。
優美で厳かさを醸し出す全体の調和が素晴らしい
男士にあのギャザーたっぷりなのは普通出てこないですよ。(ギャザーたっぷりのスカートは後に解説)
女性らしいデザインを【刀剣男士】に着せるっていう、レディース・メンズのディテールの分類をまったく気にせずに組み合わせる発想。これが案外でてこないんですよ。取り入れてるだけなので仕上がりは【かっこいい刀剣男士】なんですよね。デザイナーさんすごいな!

 

衣装の構造
あのスカート部分の構造がなぞだったんですよ。
・細かいギャザーがたっぷりきれいに出ていてなおかつ動くとふわりとする→軽やかさの謎
・下に次の衣装着てるけどその影響が出ていない→シルエットに響かないだけのしっかりした作り
この両立がどういうこと???だったんですが、ガン見した結果予想がたちまして、そして大楽後のゲネ写真で確信しました。

両立ができないのでは?と思った理由は、
細かいギャザーがたっぷりでる生地は柔らかく軽い布地。回転するとふわっと広がってきれいです。しかし、その軽い布地であのボリュームを出すには大量に布を使わないと出ません。大量に使うと布自体の重さでせっかくの軽さが死ぬ。
構造は二枚重ねでした。
デザイン的な『ギャザーたっぷりだけどシルエットはストンと落ちて、動くとふわっとする』
必要条件的な『下に着込んたものがわからない』『ポーズや動きを妨げない』(後者はポージングするシーンで足を開いたりがあったので)
この二つをスカート部分を二枚重ねにすることでクリアしてました。わかればなんてことないですが、完成イメージから導き出すのはなかなか難しいものです。さらにいうと、「秘密を暴いてやろう」という視点で見ているのにわからなかったところに、上手に作ったなあと感心しました。配信でアップで見たらわかるのかな?前寄りの席で双眼鏡使って見たんですけどねえ…蜂須賀に目を奪われたりなんなりして(言い訳)
土台となるスカートはフレアスカートで、その上にギャザーを寄せた布を前中心部分を明けて重ねてます。前中心には色布です。
一周全部重ねていないのは、土台スカートとギャザー布の広がり方の違いと予想。
ギャザー布は切れ目がある方がなびき方がきれいにふわっとするし、しゃがんだ時にストンと落ちることでギャザーの流れがきれいに見える。

 


顕現のシーンの写真ですが、しゃがんでいる刀剣男士に注目してください。篭手くんと物吉くんがわかりやすいです。
これが一周ある普通のスカートの形だと前側に引っ張られてギャザー(ドレープ)の流れが変わります。

そして、上衣は着物の作りに見せつつ、狩衣デザインのベストっぽいものと薄い生地を使った着物袖の組み合わせにより袖の透け感を出しつつボディの透けはカバーしてるんじゃないかな?という合理さも感じます。
この白衣装は前回の祭り衣装と同じで、厳密なフィット感を必要とせずに製作できるのでパターン起こしやフィッティングに割く労力を他に全振りできる無駄のない作りでもありますね。
最高。あのひらみ最高。お袖がなびくのも最高。


軽装
まさかの!ありがとう!!!思い立って大阪出陣したので誰よりも早く蜂須賀の軽装も見たよ!(同時に見た人はたくさんだけど)ここは荒ぶります。
軽装の何がすばらしかというとその着こなしの差す。
青江は身頃にちょっとシワが寄ってて帯も成人男性に比べると少し上です。そうだ青江は脇差だったわ!!っていう、華奢さと少しの幼さを残してます。
対して蜂須賀と兼さんは【和服を着こなせる男性】スタイルなんですが、キャストさんは細いので補正とかしてるかな?(【和服を着こなせる男性】の体型って腹回りがしっかりしてる寸胴なので)
蜂須賀様、ねえ見た?見て!!
衿(衣紋)の抜きが多いんです。うなじが見える、女性が浴衣を着る時に衿の後ろを下げるやつです。それによって漂う姫感。素足は男の足、仕草は優雅。性別とかどうでもいいよね神様だもんね。ありがとうはっちー。
兼さんは、ミュの兼さんってちょっとべらんめえっぽいところがあったりして、まあ脚は開くし(見えてはいけないものが見えるんじゃないかとハラハラした。下にちゃんと見せてもいいやつ履いてた)、ちょっとガサツにも見える動作します。
が、着崩れないんですよ!!!
最後にすっと脚を閉じて立つとかっこいい。あんなに暴れたら乱れるでしょ?なんで?キメ顔のかっこいい兼さんを印象付けて去っていく。ありがとう。
ただ着せただけじゃない、キャラクターに合わせた着せ方をしてくれるお衣裳さん大好き。
それと、イラストではわからなかった帯の結び方も青江は浪人結びで兼さんと蜂須賀は貝の口でした。(これ、違ってたらそっと教えてください。というか、和装は明るくないのでなんか違うこととかあったら教えていただけると嬉しいです)

 

お衣裳さんが素晴らしい話
ヘアメイクさんも素晴らしいんですが、衣装ブログなのでお衣裳さんの話をします。
蜂須賀役のキャストさんのツイッターで二部衣裳の写真があります。

 


白ブーツきれいすぎない?!という驚き。
白ブーツ(しかもソールが黒)ってステージ上での短時間でもかなり汚れるんですよ。このキャストさんは写真加工でブーツの汚れ消したりするタイプではないと思っているので、多分これが本物そのままですね。
このTwitterが北海道公演なので新調したとしてもここまでの間にかなり履いてます。ということは
毎回めちゃくちゃ手入れしてるよね!
思い返せば、今回の天狼傳衣装は合皮じゃん?あれは化粧品とか着くと劣化めちゃ早いじゃん。今剣ちゃんの阿津賀志衣装ピカピカにきれいじゃん。作り直したのかな?って思ったけどどうなの(正解は中の人しか知らない)。
どんなに気をつけて着替えても本番中に衣装チェンジがある限りはメイクが付いてしまうし、汗だってかきますよ。(見てても汗だくなのわかりますよね)
替えが2,3着あったとしても毎公演ごとに汚れやシワを落として手入れをして、完璧な状態に整えてくださってるんですね。だから毎回刀剣男士あんなに完璧にかっこいいんだ〜。
お衣裳さん、ありがとう。
軽装もピシーッとシワひとつないですからね。
パンフレットのスタッフのところに衣装進行やヘアメイク進行まで載ってます。もう本当に感謝しかないし、美味しいものたくさん食べさせてもらってほしい。なんならグルメカード贈りたいです。


ライブ衣裳(二部衣装)のあれこれ
今回の二部衣装のチョイス最高でした!衣裳決めた人ありがとう!!!!
今まではそれぞれ最新作の二部衣装の着用です。曲のメンバーによっては合わせてお着替えもありましたが(石切丸が二種類着たり、小狐丸がソロ曲に合わせてチェンジした)、基本は最新作を着てました。
今回は石切丸はみほとせ初演、小狐丸はつはもの、今剣ちゃんは阿津賀志、安定と長曽祢さんは天狼傳
出てきた瞬間、神様に感謝したよね。(それと同時にどっかで衣装チェンジしてくるのかまさかの会場がわりなのかビクビクもしました)
好みの問題なのですが、私は阿津賀志巴里はこれだけデザイナさんが異なることもあって2018で刀剣男士がずらっと並んだ時に巴里メンツだけなんか浮いて見えたところが残念に感じました。
そんなこともあり歌合の上記メンバーの衣装チョイス、俺得でした。
石切丸はみほとせ初演大好きだし、天狼傳はもう2度と見れないと思ってたし(でもはっちーは新衣装のままだったの嬉しい。あれ好き)、今剣ちゃんはつはものも好きなんですが阿津賀志の中では完成度が高いうちの一振り。小狐丸のつはものはずっとチラ見えしてるおへそ。
ちなみにブロマイドはそれぞれ最新作を着用しているので、撮影時点ではそっちを着る予定だったんでしょうかね。変えよ、って言い出した人ありがとうありがとう。
ディレイで確認しますが、今剣ちゃんは多分ブーツは新しくスタイリッシュになってたと思います。


戦装束で改めて感じたこと
あのね、明石国行のシルエットが完璧なんですよ。ヒップラインがすっごくきれいなのはパンツのラインとジャケット丈。ジャケットのシェイプ具合とか神業ですよ。
立ち絵の上着、ひら〜っとしててわからないじゃないですか。あの絵でいくと多分もうちょっと丈が長くなるようなところをあの丈にしているからこそ明石のスタイルの良さが引き立つ。
感心して明石のヒップラインガン見したところで、ふと堀川に目が行ったんです。
堀川のパンツ(スラックスという言葉の方がしっくりくる)って、ダサいやつですよ。中途半端なゆとり感は学校の制服を彷彿とさせますね。
それが堀川は全然ダサくない。これもパンツのライン(シルエット)がきれいなんですよ。ジャケットのウエストも少し絞ってて、決してタイトではなくゆとりを残しつつきれいなシルエットにしているところが『堀川の優等生っぽさ』をかもしてる。
篭手切くんとかもうわーっと思ったんですが、これはあおさくで書くべきですね、はい。
忘れなかったらかきます。
相変わらず小原さん(戦装束のデザイナさん)は素晴らしい仕事しますね。
超絶かっこいい明石をありがとう!!!

 

最後に好きな話をしよう
蜻蛉切鶴丸(あおさく衣装)の曲のバックダンサーがみほとせ再演の第二形態で揃ってたの超絶かっこよかった!!見て!そこ見て!あおさくで揃えないでそっちもってくるの天才。はー…刀ミュくんありがとう。衣装決めた人ありがとう。

みほとせ再演の第二形態のブラックのスーツにゴールドのネクタイでした。しかもハット付き。

バックダンサーに「和」を着せないことで刀剣男士二振りのあおさく和テイストが映えていました

バックダンサーさんの衣装は過去作からなんですが、全作を上手に組み合わせてました。天狼傳とむすはじは少し似ているし、巴里は第一形態はアスコットタイでロングジャケットなのに脱ぐとブラウンのショートジャケットなんですよ。

どのタイミングでどの組み合わせでどの形態の衣装を着せるか、そこまで見始めるとほんとうに奥が深くつくづく考えられたステージだと感心しきりです。

歌合、楽しかった。

 

感想、励まし、質問などはこちらへ。

https://peing.net/ja/pmintgreen?event=0

回答はTwitter https://twitter.com/peppermint_112 で。回答不要の場合は明記ください。

 

 

余談:イラストを立体化するということについて
今回の歌合にはあまり関係ないのですが(キャラデザからの新衣装がほとんどないので)、改めて戦装束と図録を見比べてぼんやりと考えました。
イラストは魅力的に表現するために誇張したり省いたりしますね。それがイラスト表現の良さです。
では、そのイラスト(キャラデザ)から衣装を作るときにどこまでを忠実に再現するのが正解なのか。
物理的に不可能なものもあります(蜂須賀極の羽衣とか)。
もう一つ、イラストを描く人は服の構造を考えて描いたりしませんよね。それはイラストとスタイル画の違いで、知ってて省くこともあるだろうし「らしく」見えることが大事だと思うので知らなくてもいいことだと思っています。
魅せる絵のためには実際だとそうはならない状態もあるでしょう。
それまで忠実に再現したら出来上がった衣装としては破綻したものになることもあります。
「イラストには線がないから縫い目を入れない」は無理です。
サイズバランスをそのまま立体の服に持ってくるととんでもないバランスのものが出来上がったりします。
イラストでの表現とそれを立体にするときに誇張するところと削ぎ落とすところ、【らしくみえる】ために変えるところが必要でその加減が衣裳デザインの仕事なのかなぁと。
房の大きさ、紋の位置、一つ一つが全体の仕上がりに大きく関わってくる。

周囲の2.5を見る人やコス自作の人にちょっと意見を聞いてみました。
『原作(絵)に忠実な方がいい』という答えでした。
でも実際見比べると意外に調整されているんです。そんな風に【気づかせない技術】ってすごい。今回触れた明石国行の戦装束もそうですが、単純に見えたままを再現するのではなく『よりキャラらしくキャラの良さを引き立たせる立体化』。すごいなあ。

むすはじ二部衣装

今回は思ったままを書きます。いつもじゃんっていうのはまあ置いといてください。

大まかな感想の後に細かい解説を続けるので、長文オッケーな方は最後までお付き合いください。

シルバーのコートにびっくりしてなんかぽかんとしたまま刀剣男士に見とれてたら終わるというのを十何回か繰り返して、やっと衣装をきちんと見ることができました。かっこよすぎるんですよ!あとですね、めちゃくちゃ好きなキャラがいっぱいいるからたまに文章おかしいけど気にしないでください。

 

今までにない二部衣装だった!

二部衣装のメインって第二形態だと思うんですよ。時間も一番長いし。

今回は戦装束になぞらえたお衣装でした。これ、初めてじゃないですかね。

今までは全体のテーマのようなものがあって、そこに各キャラの個性やモチーフを乗せてアレンジしたデザインという感じでしたが、今回は完全に戦装束からのデザインであって共通のテーマがない(強いて言えば『戦装束」がテーマ)。

まず配色がそのまんま。見れば見るほどに戦装束のモチーフが取り入れられています。でも陸奥守や和泉守は洋装になってるし巴さんはあれ(戦装束)からあれ(二部第二形態)にどうやったら変換できるのか……

戦装束からのデザインなのにすごく新鮮でかっこいい。あんなに見慣れた戦装束からだって最初は気づかなかったくらい(各キャラに見とれてたせいもあります)。

戦装束からの取捨選択とデザインへの取り入れ方がすばらしいんですよ。

堀川 戦)白シャツ+赤リボン→衣裳)白いシャツに赤い縁取り(衿周りと前立て)

大和守は段だら模様(三角の連なり)がジャケットの背中とシャツの衿に入っています。

陸奥守は戦装束より衣装は彩度を落として暗めのオレンジと紺色。これは全体とのバランスの意味もあるし、単純にこっちの方がジャケットとパンツになった時にかっこいい。プリントの模様は戦装束からですね。

兼さんは胸にある模様をそのままジャケットにがっつり入れて、羽織はキャラ色としてベルトとジャケットのアクセントに残しただけ。この取捨選択。

巴さんは何をどうしたらあのデザインが出来上がるのか全くわからないけど、あれはどう見ても巴さん。カフスのプリントは薙刀の鞘の模様ですね。(デザイン面での解説は後述)

長曽祢さんはパッと見そのまんまだなという印象だけど、羽織もなければ全然違う形だし上衣は戦装束は白だけど衣装は黒。なのにあのワイルド感はそのまま。

どういう思考回路をしたらこんなの出てくるの?デザイナさん天才だな!!!

お分かりかと思いますが、むすはじのお衣装はかなり好きです。褒めるところしかない。

全体ではファーを取り入れてあります(巴さんは腰のひらひらが羽根のように見える)。全振りの共通点はそれと少量の黒の合皮だけ、個性の殴り合い。なのに喧嘩になるわけでもなくどの組み合わせになってもかっこいい。

戦装束として見慣れている印象を引き継いでいるからというのはあるでしょうが、それを上手に残しつつ、全てが新しく構築し直されているお衣装でした。

 

各衣装の解説

第一形態(銀色のコート)

まあびっくりしたよね。初見は20世紀の近未来か!?って思いました。自分の目で見る前からこれがイマイチというのはかなり聞こえてきていたので初見は「ははあなるほど」と思っただけで終わりました。余談ですが、第一形態のコートの素材は各公演全部違います。どこまで挑戦し続けるのか、そもそもそんなの意識してないのかはわかりませんが。(記事を書いている現時点はみほとせ再演まで)

このコートも今までとは違って、個性が最小限です。アレンジがほとんどない。

コートの色も肩の布も飾りベルトも肩の覆いも全部同じで統一感がすごい

巴さんだけ肩の布が左なのはなぜでしょう?思い当たることがあったら教えてください

統一感の中にも個性がちらりとしているところがまたにくいです。

アレンジとしてコートの裏地がキャラの色(≠イメージカラー)+動くとチラ見えするパンツの色が効果的な差し色になっている=各キャラの印象

シルエットで差をつけて各キャラがかっこよく見える工夫がされています。

長曽祢さんと陸奥守は(体幹ががっしりしているので)無理にウエストを絞っていない・裾のボリューム少ない >>このふた振りはベルトを上の位置に持ってくることで視線をずらしている。

巴さん、ウエストをぎゅっと絞って裾部分はフレア+ロング丈で一人だけひらみすごい。さらにスリットが入っているので、ターンする動きで広がってさらに綺麗。

兼さんは巴さんに少し近いものの、丈は膝丈でフレアはまあまあ+後ろスリットでダンスの足さばきが三倍かっこよく見える。(巴さんと兼さんは下に追記)

堀川はきっちりウエストラインにベルトを持ってくることで正統派感(しかも兼さんとお揃い)

大和守はベルトを斜めにしてて遊び心がありつつスッキリきれい。

 

なんかこのコートイマイチだなあと思った方はぜひもう一度違う視点からも見てみてください。

肩布、この色でこの布なの大正解すぎてひれ伏す。(あのシックな、でも黒じゃないのを選ぶ感性にありがとう)

続きを読む

みほとせ再演

みほとせ初演もまだ書いてないのに再演を先に書くよ!歌合の前に上げておきたいので突貫感満載ですが取り急ぎってことで。

私はみほとせ初演が最高によかった!大好き!です。多分そう感じた審神者さんも多かったのかなーと思います。この再演は観劇の凱旋までの間に(特にネタバレ回避もしていなかったので)「解釈違い」「前(初演)の方が良かった」と「かっこいい!!!」の両方が目に入ってきました。
なるほどわからん。まあとにかく自分の目で見てみよう、ってことで劇場へ。TDCのバルコニーだったので(しかも双眼鏡忘れた)まあ舞台が遠いしざくっとしか見えないし、処理が追いつかないままに「とりあえず派手だったな」という感想だけです。どうしても初演と比べてしまうのでその方向性というかテーマの違いに唖然。ライビュでまともに衣装を拝見して遠目ではわからなかったところが多くてその点はちょっと『舞台の衣装』としての残念さは感じました。ぶっちゃけると、物吉くんは遠くから見ると全然デザインわかんない配色なんですよ。ライビュで初めてこんなデザインしてたの?!ってなりました。同時に、舞台衣装の難しさをひしひしと感じました。キャパによって”一番遠いお客さん”って変わるじゃないですか。TDCの3バルなんて想定してないよねえ…
刀ミュは後追いなのでつはもの以前の作品は映像で見ています。そして3バルはこの回初めてだったのでもしかしたら他の作品も遠目に見たらわかりにくいところもたくさんあったのかもしれないけど、こればっかりは現地でないとわからないので今回この件に関して辛口になってしまったのはごめんなさい。
初演の物吉くんが大好きだったので肩透かし食った感もあり、一人しょんぼりした劇場観劇でした。
つまらない前置きはここまで、本題に入ります。

 

第一形態

「コート、色すごくね?」が一言目の感想。そして、幾何学模様がいままでにないのでちょっと驚き。で、気づいたんですが村正の模様って風ぐるまっぽくない?(正解はデザイナさんしか知りませんけど)
一番多くのイマイチという声を見かけたコートなんで、どうしてこれになったのか何度も見た結果、意外と良いんじゃないかこれ!!となりましたのでご報告です。

共通点
・衿もとはボリュームを出しつつ軽さのある衿できっちり閉じてます。第二形態を隠したかったんですね、わかります。この衿は昔ちょっと流行った、ギャザー寄せて立体感出す衿です。ふんわりしてるけど綿とか入ってません。

・裾の箔プリント。これが中華っぽいって言われた理由かな?推測としては昔の文化は大陸から入ってきているのでどの辺りを抜き取ってどの方向から見るかで中華っぽくも見えるのかもしれません。この模様はグッズのスカーフに似てると思いますがお持ちの方はどうですか?大倶利伽羅は龍が入っていたり、ぱっと見同じ図柄使ってるのかと思ったら違うみたいで静止画が欲しい。私は和柄だなあ〜と感じました。

それぞれ
シルエットで各キャラの違いが出ます。

倶利伽羅はほとんどフレアがなくすっきり。

物吉くんは膝丈にフレア多めでひらひら。

石切丸は長めの丈に控えめなフレアで優雅。

蜻蛉切はロング丈でフレアもそこそこあるのでどっしりとした印象。

ここまでは割とシンプル。大倶利伽羅はサイドの黒の合皮の切り替えとベルトがかっこいいシャープさを出してます。


青江、あおえーーー!!これびっくりなんですけど一振りだけ裾(スカート部分)にチュール重ねてるんですよ。なにこれ最高。コートの裾はフレア控えめで大人しいのにその上にチュール(透けてる布)をギャザー寄せて乗せることで一気に華やか。同色の紺色だから控えめなのに華やか。好き。


村正は冒頭に記述した通り幾何学模様の切替が風ぐるまっぽいなと思いました。そして彼だけ異質感あるな?と思ったんですがよく見たら他キャラとの共通点も多く、やはり正面のどかんとがっつりした切替に意識が全部持っていかれるから異なって見えるだけなんですね。

 

袖付け(肩周り)・袖下に金のライン、縁取りの金のブレードはお揃いです(物吉くんは銀ですね?白地に映えるからかな)
ボタンが三つなのも共通デザインですが、ダブルになってたりタブがついてたりとアレンジが効いています。
こういう細かいとこでお揃いなのに各キャラの味を出してくる!!見つけるたびに悶える。・・・好き。
ベルト周りもいちいち凝ってるから推しじゃないキャラもチェックしてみてください。

 

マントの色と裏地の色の合わせ方も素敵です。
蜻蛉切:表黒、裏地赤紫→正面の黒の切替と調和
村正:表裏共に黒→いつもなら裏地ピンクにしそうなところを黒にしたことで正面のがっつりした切替デザインが映える
石切丸:表共色、裏地光沢のあるグレー→ベルト(ベロア!)の色と合わせつつ、縁取りやラインに使った金色とも調和
青江:表共色、裏地黒→黒合皮の切替と調和(*ライティングの関係で黒に見えるけど違ったらごめんなさい)
他は裏表が身頃と同じで邪魔をしない色合いです。

 

ところで、まず目を引くのがその色だと思うんですが、蜻蛉切は他の色なかったのかな……なかったんだろうな。
そしてどうしても毎回色味が気になってしまう(もう職業病ですね)のですが、石切丸のそれはカーキだよね。真緑でそのコートでもびっくりするけど、でもカーキかぁ……
やっぱり同じ生地で色違いを揃えるのって難しいんでしょうかね。
倶利伽羅の赤はとっても良い色ですね。加州の真っ赤とは違う赤!


第二形態
これって、ショータイムなのかな?と思ったらパァァっと霧が晴れて素晴らしくしっくりと腑に落ちた!(日本語が不自由)
まず、村正と青江がトップスター(ダンサー)。大倶利伽羅はルーキー。物吉くんがボーイ。蜻蛉切がドアマン。そして石切丸がオーナー。妄想が過ぎる

ショータイムの衣装だと考えるとキラキラ感とネクタイがドンピシャで、えっめちゃくちゃかっこいい!!ってなります。

しかもバックダンサーさん、黒スーツにゴールドのネクタイですよ。完全にそういう店じゃん。ラスベガスのショーじゃん(行ったことも見たこともないけど。イメージ)

ネクタイとリボンに分かれてるんですけど
ネクタイ:蜻蛉切、大倶利伽羅、石切丸 リボン:青江、村正、物吉
この配分すごい!なんで私の好みわかったの?神か!!って一人で悶えました。しかも青江はリボンタイ(山姥切長義くんみたいなやつ)ですよ!!
(第三形態に脱ぐ前にタイ外してくるのも良きなので、人間キャスト太鼓後半で出てくるシーン見てみてください)


村正
本当にかっこいい。前回の彼の衣装は黒とピンク(髪の色)でしたが、今回は黒とホットピンク(キャラ色)です。ここで薄いピンクじゃなくて濃いピンク合わせてるの、最高。黒+濃いピンク+ゴールドでゴージャス!髪の毛と同じピンクを裏地に使ってる。この色の配分が素晴らしいです。そして正面は黒に銀のラメラメ生地とホットピンク、サイドはラメなしの黒。パンツは光沢のある黒。生地の使い分けが巧みです。
エストをキュッと絞って裾を広げたシルエットも妖艶さを演出

ノースリーブと長袖のアシンメトリーはもう驚かないですが、ノースリーブの方に肩章(肩のタブ)がないのは良い選択です。何も考えなかったらつけてしまいそうなところをなくしてて、すっきり。

その分左側にデザインポイントが全部載っています

(デザインのポイントをたくさん置くとごちゃついたりとっ散らかって一番見せたいものが映えない)
右側は黒でシンプルだけど生地を変えてたりベストと裾へのつなぎ目の形がきちっとしてて目を引かれない部分もちゃんと作られている。だから目を引かれる方もより素敵に見える。
そしてですね、フリルタイしてない?ピンクのリボンに気を取られてたけど、シャツと同じ色(に+キラキラ)のフリルタイついてるよね?ね?

あとね、髪飾りも素敵だから見て。


蜻蛉切
ジャケットコートがイイ。ロング丈な上に体が大きく面積があるのでバランスを取るために衿を大きくしたくなってしまうところをあえて小さくつくってある。そしてラペルにタブ飾りをつけることでデザインのインパクがでる。脇にでっかく菱形の蜻蛉さんプリント(って勝手に呼んでる)が入っているので、全身で見たときに衿のデザインとのバランスでどっちも良い具合になってるんです。

この衿(ラペル)のデザインすごい!!引き(全身)がかっこいい!!胸上アップもかっこいいけど。
でですよ、シャツとネクタイがまた…シャツの衿が小さくてネクタイが太い。このバランス!シャツの衿が小さいのはジャケットと合わせてもあるしネクタイのボリュームがあるので、というところ。このネクタイベロアかな?光沢あって素敵。
そして、カフスと肩章に(ラペルも)紫のベロアでしょ。シックなのに麗しい!
ベストも左右で生地変えてんのもニクいよね。

コートの中に裏地ではなくて布を重ねてて、それがヒラヒラすんの(後ろのスリットからも見える)、見て!


青江
あのね、今回一番好き。
濃紺のジャケット、いつもの色(後述あり)。パンツはグレーで上下一緒じゃないんだ?ってなったけど、同色じゃない方が断然いい。(素敵なジャケットがよく見える)

ジャケットは左半身はオーソドックスなテーラー衿に対して右半身は衿なし衿なしっていうか着物みたいな衿に赤を重ねてます。このアシメ、よくやったな??そんで見事にしっくり調和しててしゅごい。(全く別のものをくっつけるってやりたがるの多いけどデザインとして成立させるのはかなり難しいです)

よく見ると左半身が紺色でラペルに赤を重ねてます。折り紙とか熨斗袋の差し色みたいですね。そして、それ以外の部分が黒に細かい銀ラメ生地なんですよ!紺じゃなかった。(カフスは紺地の切替)(赤が差し色になっている件について追記しました)
彼のトレードマークとも言える左肩の白い布は小さく軽く、動きに合わせてひらひらします。反面、腰布はいつもの(源氏兄弟とか)ふわふわじゃなくてしっとりした生地で体を動かした時の生地のなびき方が違うんです。飾り紐も揺れて、その三つ(肩の白い布、腰布、飾り紐)の動きの違いがすごくいい
ブレードと飾り紐とチェーン飾り(金一色じゃなくて黒と合わせてちょっと控えめになってるの最高)の金色も全体を華やかにしつつ引き締めていい仕事してます。
あとね、今回もロングブーツ、ありがとう!!青江って感じするよね。


倶利伽羅
言うことは何もない。
でしょ?え、これもうみんな大好きなやつじゃん??
黒無地じゃなくてパイソン(かな?)の押し柄の生地だとかラペルの赤もギラギラだし、シャツは真っ赤だし、ネクタイなんてレザー(合皮)な上に、シルバーチェーン飾りとかつけてその上革手袋とかさ、こんなの着こなせるの大倶利伽羅だけじゃん!!!!
衿もととネクタイ緩めて審神者の心をどうしたいの?!
まくりあげた袖口が紫なの、いいですね。ふふ。
パンツのサイドの太い赤いラインと腰布が長めなのでジャケット丈と相まって全体のデザインバランスが整ってますね。しかもちょっとゆとりのあるパンツにミドル丈のブーツってところがまたかっこいい。これ、ただの黒いパンツだけだったらちょっとつまらないんじゃないかな。


石切丸
ごめんね、色味の差が気になっちゃってそれどころじゃない。
彼だけなんで和なんでしょう?石切丸もがっつりテーラードジャケット見たかったです。もしくは燕尾とか。
石切丸だから許された感を勝手に感じてます。
腰布が二重で、下にキラキラ&軽い布が挟んであってクルッとしたときに綺麗です。


物吉くん
可愛い。キャラ的には100点あげたい。遠目に見るとシルエットが曲線で女の子っぽく見えてしまったところが残念でした。ジャケットの生地がもう少しハリのある素材だったらカットソーぽく見えなかったのになあ…
このあたりは好みと解釈ですね。
腰のふわふわしたラメ入りチュールは可愛い。可愛すぎて、遠目で女子かな?ってなった一因。
このソックスは戦装束からきてるやつですよね。前回もソックスだったけど今回はショートブーツ合わせててこれも好きです。

 
第三形態
割とシンプル。って思ったけど、よく見るとそんなことなくて、随所にちゃんといろんなものが仕込まれてます。

村正と石切丸はその腰のひらひらどこに隠してた?!(第二形態でほとんど見えない。よーく見てると村正は濃いラメ布チラ見えする程度)
倶利伽羅は、ほらーみんな好きなやつじゃん。大倶利伽羅に着せるならこれってやつじゃん。タンクトップのゆとり感が最高。
青江は右に寄せた裾スリットが素肌がちらっと見えそうな長さなのすごい計算。そして背中で私は死んだ。
物吉くんのバミューダパンツ(しかもハイウエスト)にサスペンダーはグッドチョイス!
蜻蛉切はめちゃシンプル。トップスのドレープがキレイに出るようにちゃんとパターン作ってひだの位置調整してあります。これはただだらっと着てるだけじゃないです。

 


突貫で書くとか言ったの誰だ。PC向かって1日が終わりました。(向かう前に十数回見てる)
みほとせ再演もかっこいいよ!ありがとう!!比べるものじゃない、その時その時の目の前にあるものをちゃんと見るのが大事だよね。
今回の私の一番は青江でした。村正と僅差。きっといい席で生で見たら村正だったと思う。

 

上から目線みたいで烏滸がましいんだけど、デザイナーさんの引出しがどんどん増えていってて思いがけないところから飛んできたものが予想外のところに着地する、みたいなデザインされるんですよ。とらわれず縛られず発想が面白くていろんなのをミックスしてくるところがすき。
ぶっちゃけ刀剣男士にみんなが好きそうなかっこいい服着せときゃ及第点じゃないですか。でもそういうことじゃないんだよね!そうだよね!!って脳みそ揺さぶられる。
あと、誰かが好きだと言ってても自分には響かないのもあるし、逆にイマイチだったと聞いてても私としてはおおおってこともある。そのへんは好みの問題ですね。

 

続きを読む

源氏双騎一部衣装

源氏双騎一部衣装


双騎の一部衣装はデザイナーさんは小原敏博さんです。舞台衣装ではかなり有名な方です。詳しくはウィキとか見てみてください。
まず、このブログは衣装についてのブログなので今回の双騎の賛否だとかそういうのは抜きです。ただし、前提として私は曽我物語を知りません。見たことありません。今回のタイトル発表になって、曽我兄弟じゃない?みたいなザワザワで慌ててググりまくって初めてあらすじをなんとなく読んで理解しきれないままに双騎観劇に至りました。
そのため実は歌舞伎の演目の衣装になぞらえていたとかいうのは千秋楽後のTwitterの博識な皆様の情報で知りました。
というのが大前提で、衣装について感じたことを綴ります。


今までの第一部の衣装=戦装束(+人間キャスト)です。平面を立体にする難しさとかはありますがメインのデザインは出来上がっていますし、衣装の予想も何もキャラクターそのままです。ですから、今回初めて「衣装デザイナー小原敏博」を見た気がします。

 

一部衣装が引き抜き(脱いでいくことで変わっていく)と+αでした。
そのギミックと効果的な見せ方に感心しました。

幼少期
桃色のおべべ(くそかわいい。兄弟で微妙にデザイン違うのがにくい)+膝下が素足で幼さを表現。
(兄は下衣の裾を内側に織り込んで膝で止めてる&弟の膝の黒いの秘密アイテムじゃない?と予想)
今剣ちゃんの内番服にも似たポンポンがついたおべべはあの時代のベーシックな形みたいです。

 

元服
ベースの青い装束(兄弟で微妙に色味違うのもいいよね)
幼少期の桃色の上着なし、膝下はまだ素足。弟は下衣に黒い布を巻いて僧の修行感が出ている。
この装束にはそれぞれ蝶と鳥がモチーフの柄が入っている(後から曽我兄弟のモチーフと判明)&襟元に源氏兄弟の戦装束と同じモチーフ(髭切は丸いやつ・膝丸は扇のアレ)がついている。この辺になんかいろんな意味が込められてんだろうな〜とふんわり感じました。
そして、その襟元のモチーフから伸びる紐が髭切が黒で膝丸が白なんですよ。その先端のふさは戦装束と同じ色味なのに?!

綾なす音(兄弟がそれぞれ歌い、あのポニテになるところ!)
これは曲中に早替えしています。
兄は膝の裾上げを取り裾が長い下衣に。前髪も降ろしたよ!
弟は膝下に黒い脚絆(きゃはん・脚絆 - Wikipedia)。前髪ちょっと伸びたね?

傘の向こうでこの早替えが行われていたんですね。ディレイ配信は映ってるところしか見えない(当たり前)から早く全景欲しいです。

 

仇討ちの許しをもらいに母上と会うシーン
かみしもみたいなのを羽織っています。兄は白、弟は黒。源氏カラーです。ここでやっと上記の紐の謎が解けました。返し衿の色と紐の色が合うんですね。
細かい!やばい!!好きっ
正面は源氏の戦装束を思わせるデザイン×曾我兄弟。なんというミックス。
このかみしも風の羽織はサイドのプリーツが美しい!!舞に合わせてしなやかに揺れる。しかもグラデーション染めでしょ。
センターとサイドのウエストの紫のベルト部分が目を引きました。
このかみしも風の羽織からは覚悟と決意が感じられました。

 

最後の仇討ち
兄:袖を引き絞って丈を上げて、腕当て・脛当て
弟:右袖を抜き、腕当て・脛当て
かっこいいの極み。なんなのこれ。その時の弟のインナーが黒ノースリーブは最大に評価したい。


私は花組芝居さんの舞台を見たことがないので、舞台上で衣装を脱ぎ着することで役割が変わるというのが通常なのかはわかりません。けれど、今回の双騎の中では加納さんのそれがあり、そして兄弟は衣装を変化させることで成長と心情を表しているのは面白いと感じました。
そして演目の特性上、すでにあるものをそのまま衣装化したのではなく、いろんな要素を組み込んで出来上がったお衣装でしょう。
小原さん(デザイナーさん)は博識というか常にいろんな資料を研究されているんでしょうね。
もうほんと、よくできてるなーの一言です。


あのかみしも風の羽織最高だからブロマイド売って?めっちゃくちゃ綺麗じゃない?あのサイドにプリーツ入れてくるとかなんなのその発想。
舞の時に、羽織にはいったスリット(切れ込み)の位置と長さが絶妙ですんごい綺麗でした。運動量的な(踊りに邪魔にならないように)意味合いもあるでしょうが、それをデザインに上手に落とし込んでいると思います。はーーーーー最高。

 

母上他の加納さんや人間キャストの衣装についてはちょっともう覚えてないので割愛です。加納さんがTwitterで一部の衣装は用意されたものと発言されていたのであれも小原さんってことですね。すげえな。なんでも作れるの?神なの?なんなの?それともスタッフがすごいの?平安担当とか甲冑担当とかいるのかな……(時代劇系の衣装なんかは専門の会社的なところがあるとは思いますが)
なんにせよ小原さんの凄さが遺憾なく発揮されたお衣装でした。

 

あとね、縫製がすんげえ綺麗。いい工場とお付き合いしてんだなあと別の意味で感心しました。

源氏双騎の二部衣装

同行者が無言になるくらいにライブパートで泣いた源氏双騎の話

 

2019/08/18 一部加筆修正しました

 

双騎は推しキャラです。ゲームだけの時から最推しの膝丸です。よって冷静に書ける気がしません。多分そのうち編集してくれると思うので、今回は思うがままにパッションをぶつけます。わかりにくいところは「なにそれ?」「どう言う意味?」と投げていただければ言葉をひねり出して答えますのでお気軽にどうぞ。
解説というよりもただの雄叫びレポートです。編集に期待しましょう。

 

まず、双騎が決まった時にどんな衣装かな〜なんて浮かれて大予想大会みたいなトークをしまして、その時に「がっつり洋装を見たい」と言いました。
『つはもの』はthe和というほどではないですが随所に和のテイストが盛り込まれていました。みほとせ初演みたいな軍服テイストやプリンス系の源氏、見たくないですか?私は見たいです!!!単純にカチッとした洋装が好みというのもあります。

 

第一形態
劇場で見ました。泣きました。え?は?

あの源氏兄弟にフリルたっぷりのゴシック調着せる??まじかよ。
動きに合わせてひらりひらりと裾がなびきキラキラと輝き(エフェクトではなく生地が物理的に)レースが揺れる。なんじゃこれ。
たっぷりレースが似合うのは加州清光くらいだと書きました。レースのタイが似合うのは蜂須賀虎徹くらいだとも書きました。

源氏兄弟もありだった。デザイナーさんありがとう。天を仰ぎ神(この場合は刀の付喪神)に祈りを捧げたい。
ついに頭おかしくなったかな?って思いましたよね。あってます。初見の劇場ではライブパートスタートで泣くというやばい人でした。

 

さて、落ち着いて衣装を見て解説しましょう。(ディレイ何十回と見ました。焼き付けました)


パッと目を引くのはその豪華さ

たっぷりのレース。ヒラリと広がる裾の綺麗なライン。肩にたっぷりと寄せられたパフ(丸み)と広がった袖口が優雅さを醸し出してます。そして何よりキラッキラの生地。見惚れます。魂を抜かれました。

色が白と黒だけです。(+紫後述します)
そしてそれぞれメインカラーじゃない方にキラキラの生地(細かいスパンコールがついているやつでした)を使っています。これは色違いの生地です。

メインカラーの生地は色違いじゃないんです。
髭切はジャガード織りの白い生地。白一色なのに優美な柄に光沢があって上品!ウェディングドレスとかで使いそうな生地だなあと思いました。
膝丸は黒地に銀の細かいラメ。パリッ、キリッとした印象です。


インナー風のベストはそれぞれのメインカラーでその共布。

ここにはくるみボタン(布で包んであるボタン)を使い他の装飾はありません。ここに無駄な飾りをせずにシンプルに仕上げていることで他が引き立ちます。


ドレスコートの前端には惜しげなくたっぷりとレース。袖口にもレース。この分量バランスがさすがですね。多分デザイナーさんの得意分野じゃないでしょうか。加州単騎の時もゴシック調のデザイン上手いなーきっと好きなんだろうなーと感じました。
そしてレースのアスコットタイ。白地の方についた黒の刺繍飾りも目を引きますね。
ここまでが第一印象です。この先の細かいところがすごい。

 

まずブラウス(服装のテイストからシャツではなくこちらを使います)はメインカラーと逆。つまり
髭切は黒のブラウスに白のレースタイ+白のベスト
膝丸は白のブラウスに黒のレースタイ+黒のベスト
となります。メインカラーの使いどころのうまさ!!
ちなみにパンツはメインカラーそのままで生地は普通の無地です。

ブラウスの衿はアスコットタイに合わせてきちんとウィングカラーです。

レースタイには紫のリボンがついています。しかもベロア(違ってたらごめんなさい)高貴!!さらにコートのスタンドカラーも紫で細く金の縁取りがあります。
この紫色がアクセントになって全体を引き締め、黒と白をより際立たせています
裏地もトーンおさえめの薄紫です。細かいっ。
紫と同じく金色もアクセントになっています。スタンドカラーの縁取りと、パンツの脇のライン(こちらは太めにしっかり)入っています。
ドレスコートで隠れるパンツですがしっかりと装飾されていてさらには編み上げブーツを合わせていて最高ダンスでちらりちらりと見えるおみ足ありがとう!!

もっと細かくいうと、衿の縁取りの金色は鈍い色を使うことで過剰な派手さを出さないようにしているし、コートの丈はやっぱり髭切は長くボリュームもあり膝丸は短め。
そして内袖はここでも別布です。これは多分舞台衣装業界では常識なのかな?(他からの伝統ある舞台のキラキラ衣装も内袖には飾りがなかったので)
凹凸のある生地や飾りは引っかかりやすく袖下は摩擦が起きやすい部分なのでそのための対処かと思います。

(ここはつはものの記事で触れています)

 

レースたっぷりなんだけど可愛らしさはなくて、美しさ、気高い、優美、っていう言葉が似合う。源氏兄弟にぴったり。ゴシック調っていうと加州単騎を思い出しますが、こっちはキュート、妖艶、ゴージャスなんですよね。双騎はモノクロで装飾が控えめだけど決めるところはガチッと決まってて色使いも装飾も上手い

 

足し算に足し算してさらに足し算したところにちょっと引き算、みたいなすっごい絶妙なバランスですよ!
ありがとうありがとう。これのブロマイド早く売って!

ちなみに、清光は掛け算に掛け算を重ねてさらに掛け算していきなりドーンて引いたうえに足し算だなと思いました。

 

ダンサーさんの衣装も色も紫系だしレースタイ(紫のリボン付き)と、裾にぐるりと金色のレーステープがついていて源氏兄弟との一体感出てたのも良かったです。このレーステープと源氏のパンツの脇のラインが同じ資材なのかはちょっとわかりませんでした。しかもマントついててかっこいい。ひらみやばい。(第二形態からはマントなしになってましたし第三形態ではいつの間にかキモノ風のトップスにかわってた)


第二形態
引き抜きじゃなかった!お着替えしてきましたよ。ワオ。


この時に腰に巻いた布の内側が赤地に白の横二本線です。初見で「なんでこれ?なんの意味があるんだろう」ってずーっと思ってました。今までのデザイン傾向からは異色で違和感がありました。意味がないはずはない。でもそのこれを入れた意味がわからない。
白状します。私は頭弱いちゃんです。歴史…ウーン本能寺で信長が死んだのは知ってる。江戸幕府徳川家康!(ドヤ顔)っていうレベルです。歌舞伎や能、古典演劇なんてもってのほか(見たことあるってのと知ってるのは違うんです)。双騎にあたって「曽我物語」を慌ててググってウィキ読んでなんとなくふわっと理解できないまま見ました。
千秋楽の後Twitterの博識の皆様のおかげで、歌舞伎『曽我兄弟』のお衣装の柄だと知りました。ナルホドナー。

ここからはものすごく個人的な意見です。
分かる人しか分からないネタで、しかも一部(ミュージカル)側の要素を見てわかりやすいところにぶち込んで欲しくはなかったです。
わかった人は楽しかったと思います。でもわからなかった私は、何で?なに?何なの?って混乱している間に腰布がなくなりました。勉強不足といえばそれまでですが、事前に下準備をしなくとも楽しめるものであって欲しいと、私は願っています。気にしなきゃいいじゃんって話なんですけどね。もしかして気になってたのはこういう職業病的なものですかね…

 

さてこの腰布、おもて面は何とあのキラキラスパンコール布で縦にずばんと装飾されています。右側にキラキラ布と金のライン。ただの無地一枚にしてないところがさすがです。
そして腰布を取るといつもの感じ。

肩章にロープ飾りに肩布(イメージカラー)に腰のふわふわ布と全部盛り全部盛ってるのにうるさくないのは何で?色か!
膝丸はロープが銀色で全体的にシック。縁取りや肩章のふさの金色も鈍い色です。

そんでジャケット短いじゃん。ありがとう。これぞ膝丸、わかってるー!!下から出ているシャツが白黒で、白一色じゃないのが戦装束じゃないぞって感じがいいです。
髭切はジャケットはやっぱり丈が長い。そして装飾全部盛りはお揃い


このジャケットは半身(はんみ)が合皮っぽいモヤモヤ柄の布です。派手さはないけど地味すぎず、舞台での『映え』があるなと感じました。

柄合皮(正確には素材不明とのこと)はありなの?ってところは、全体に色味を押さえてシックに仕上げてる中で、地味になりすぎずっていうとあれがよかったんだろうと思います。
膝丸は黒と白に対して、髭切は白がメインなのでブラウンをサブカラーにしています(前回つはものもそうです)。この半身だけ色違いの合皮っぽい生地にしてあるところはお揃い感が強いのですが、髭切は袖まで合皮(って呼びます)に対して膝丸は袖は普通の生地で肩の飾りまでが合皮。
こういう「お揃いだけど違う」っていうのがいいですね。正面の装飾も全部盛りの装飾もおんなじなのに、全体のシルエットが全然違くそれぞれのキャラクターが出ている。

後ですね、パンツは普通の布って第一形態で書きましたけど、地味に織り模様入ってました!この第二形態で上下セットになるんですねえ。なるほど。
もう一つ、袖口ですが、コートの袖よりも広がっています。これは引き抜きだったらできなかったやつ〜(下に着てる方がボリュームあるとゴワゴワする)。ジャケットの裾がひらひらしていない分袖口を広げることでエレガントな雰囲気をだしているように見えます。


装飾とかめっちゃ細かいところまでこだわってるけど書ききれないからこの辺で。(レース叩きつけの上に飾りボタンとか前端の紫の布とか!!)

髭切のジャケットの裏地を白ではなくブラウンベージュにしているところと、膝丸のジャケットの下から出てるシャツのウエストをくびれさせたパターンにしているところが好きです。

 


第三形態
第二形態のジャケット脱ぐと思ったじゃん?まさかのちょっと引っ込んで(しかも見えてる)お着替えした。

 

このキモノ風のトップスは双騎全体の中で見るとアリだなと思いました。合間の加納さんの舞のシーンとも繋がって、初見でここに和を入れてきた時はえ?っと思いましたが全体の流れを見ると納得しました。

左右色違いはまだしも両方とも柄生地を持ってくるところは挑戦的で上手な組み合わせの生地を選んだなあと思います。
柄on柄って難しいじゃないですか。
パンツはシンプルで編み上げロングブーツもそのまま。そこに一枚で映えるトップスというのは中々です。

後、早替えなんで、ガッと羽織ってパッと止めて多少緩んでてもキマる形にしてあるのは工夫ですね。

インナーに関しては私は好きではありません。否定的なことはあまり書きたくないと思っていますがこれははっきり言います。
そりゃあ素肌出されたら見ちゃいますよ。人間だもの。でもこれはここまで露出する必要あった?と思います。
第二形態でインナーをチラ見えさせたくなかった、キモノ風トップスに合うインナー、等々理由はあるでしょう。
が、源氏の重宝・刀剣男士の品格としてどうなのか、と。
この形のインナーを否定はしません。ただ、もう少しラインどりを工夫できたんじゃないかと。
男性でも胸の上(胸筋)を出すといやらしく見えるんだなと、ここいくつかの衣装で理解しました。背中がどんなに開いていてもいやらしさはないんですよねえ。
今回の場合だともう少し布の面積を増やして胸の上のラインまでは覆って欲しかったです。髭切の方が紐が一本高い位置にあるので覆ってる面積は多少多かったかもしれません。(でもたりない!露出よりも品格をください

途中で片肩出し、しかも腕の黒いパーツ(腕輪でいいんでしょうか)もかっこよかったですしトータルとしては、よかったと思います。
トップスがペラいという意見も見かけましたが、いろんなものの限界もありますし、私はあの柄は素敵だと思います。っていうか、あの黒と白の柄生地よく探してきたな…単体で見たら(えっこれ何にいつ使うの?)としか思えない。でもあれが無地だったらイマイチですよねえ。そういう柄生地と無地のチョイスが本当に上手ですね。

 

いやあ、再演が楽しみですね!またあのお衣装見たいなあ。改良されてくるのかなあ。ワクワクが止まりません。

 

 

今回の双騎は、予想のはるか上を超えてきた

全体的に色味を抑え、イメージカラーであるペールグリーンとペールイエローは第二形態の肩布だけです。

差し色の金色・紫色も鈍い色控えめな色を使っています。

舞台セットが今までにない『ある』舞台だったので、それともマッチしていてよかったです。

なんたって源氏兄弟髭切と膝丸がそれだけで華やかですから、衣装に余計な色はいらなかったのかもしれません。

なんていいつつも、随所に装飾が施されていたり色は地味だけど厳選された生地を使うことで舞台で映える美しいお衣装でした。

ありがとうありがとう。かっこいい源氏兄弟がさらにかっこよかったです。

 

追記

あのドレスコートのキラキラ生地、オカダヤさんのツイートで確認しましたが、スパンコール生地ですよね。

ダンスとかそっち系の用途が多いのかなとは思いますが、あの手の生地は柔らかくハリが少ないんです。つまり、あのコートが静止している状態で美しいシルエットを保つのには生地だけでは難しいです。専門的な話ですが、芯地を貼ったり裏地で調節したりしていると思います。あのスパンコール生地に対してもう半身の生地は(生地のアップ写真を探せなかったのですが)そこそこにハリのある扱いやすい布だと思います。

つまりてろんとした布とシャキッとした布を左右で縫い合わせて見た目同じ形にするってことです。

やべえですよ。自作の方は頑張ってください。芯地でそこそこいけると思います。

デザインをアシンメトリーにして誤魔化すという手もあったと思いますが、それをやってしまったら多分イメージが全く変わったでしょう。

妥協しない手を抜かないところにプロの凄みを感じました。

 


以下おまけ

衣装の生地がお高いらしいという情報を頂きましてサーチしたところ、ドレスコートの生地が自作レイヤーさん泣かせなお値段でした。
(具体的に言うと、幅〜80c,¥12000/1m なので半身使用でザクっと計算して1着あたり着丈の2.5倍くらい必要。一振り分でさんまんえん!)
私は服も衣装も作りませんし生地屋にも行かなくなってしまったので、公演と映像(物によりブロマイドや彩時記)を見ているだけなので生地の質感や細かいことはわかりません。今回生地屋さんのアカウントをフォローしたので生地のアップと素材とお値段がわかってますます興味深くなりそうです。
人と場合による、が前提なんですが、ステージ衣装の材料は普通にお店に買いに行きます。オカダヤとか特殊生地専門店とか見つからなければ日暮里でハシゴしたりします。量産品のようにたくさん作るのではないので着分(+α)しか買いません。数千円/1mだとそれも納得という感じでしょうか。
お得意様だと生地屋さんがサンプル持って来てくれる場合もありますが、明確なイメージを持って生地を探す場合は自分の足で回って見て選ぶ方が多いかもしれません。逆に、制服のような生地とかいったものはわかりやすくバリエーションも少ないので生地屋さんに問い合わせて見本を出しておいてもらうこともあります。
自分語りですが、生地屋さんで素材を眺めているとイマジネーションが膨らんで、こっちにこれを合わせたらどうだろうか、この装飾をつけたら面白いんじゃないか、とすごく楽しかったです。副資材コーナーは衣装にたくさん使われているブレードや模様の刺繍(今回の双騎のドレスコートについていた黒い模様の刺繍みたいなやつ)やレースが揃っていて、「こんな模様もあるのか!!」とワクワクします。作らない人でも何かのついでがあったら新宿のオカダヤは立ち寄ってみると面白いと思います。

 

祭衣装について らぶフェス2018

祭り衣装について

真剣乱舞祭2018で度肝を抜かれた祭り衣装。山鉾とかもろもろ全部がポッカーンしたわけですが、衣装のブログなので衣装のことを書きます。
全てが憶測で本当は違うのかもしれないけど、っていうのは大前提なので正解を知ってる方がいたらアクションください(ください)。

 

祭り衣装のかっこいい!すげえ!!以外の最初の感想としては『上手に省いて最大の効果を出したな』です。


・デザイン云々の前に衣装の形について
まず、上衣と下衣は元々の戦装束の上に羽織っただけ。着替える時間カット&衣装コストもカット。(省けるところをカットする=無駄なことをしない=余力を他に回せる、という肯定の意味です)
次に、刀剣男士は短刀から薙刀までまあサイズがバラバラですね。ライブ衣装なら各刀完全オーダーメードだけど祭り衣装はみんなお揃いです。


多分、ベースの型は3サイズくらいで作って、それを各刀に合わせてアレンジしてる。なぜそう考えたかというと、型紙の作製コストってものすっごくかかるんです。十何種型紙作るより3サイズ作ってアレンジした方が断然無駄がない。デザイン的にゆとりのある上衣と巻きつけ方でサイズもアレンジもし放題な下衣。ここで衣装コストをまた抑えることができている。


そして、背面のあの素晴らしい龍と虎のプリントなんですが(麒麟は一振りなので)、プリント図案それぞれ一つで西軍東軍全員分作ってますね。まあお揃いなんで。
ここでもまたサイズ問題が出てきます。背中にどかーんとあんな大きな図案だけど、今剣ちゃんと岩融でサイズだいぶ違くない???
かといって刀剣のサイズに合わせて柄を縮小拡大するのもなんだか変です。並んだら絶対おかしい。あとプリントの関係で無理がある。
(豆知識:生地プリントは昔は版画みたいに”プリントの元版”を作って刷るのが主流で今でも普通はこれ。元版作るのにお金かかります、かなりかかります。最近は布地に直接プリンターで印刷できるようになったので少量でも安価にできるものもあります)
つまり、あんなにサイズが違うのに背面の図案が全部同じで、並んでも違和感ないってすごいですよ。ワンポイントとかならまだしも全面プリントですよ。

 

 


プリントの中身の解説
1.柄の一番目立つ部分を各刀の体の同じ位置(龍の顔は腰のあたり、虎の顔は背中)に来るようにプリント生地を使うことで同じに見える。
2.背丈や身幅でカットされる部分は色柄を入れつつも多少切れても違和感のない模様にしてある。
この二点により同じ図案で異なるサイズなのに違和感がない!よく見ると岩融と比べて今剣ちゃんの裾の赤い部分少ないんですよ。(これ絶対同じ図案使ってるはずなのにおかしいって何回も何回も見返しました)
さすがですね。そして、コストカットできたことで生まれた余力が装飾に活かされたと思いました。

 

・デザイン面の話
一番大きな声で言いたいのは『衿の幅変えてるのなんで?!めちゃくちゃかっこいい効果的!!!』
(和装は明るくないのでスタンダードなことだったらごめんなさい)
いやもう全部かっこいいんだけども、一番目立つ衿に各キャラの色重ねてるのはわかる。予想の範囲内。でもですよ、衿の幅変える?首の後ろは細く前端に向かって幅が広くなってます。上衣の前面は真っ白なのでその衿が袖口の共布と合わせてとってもいい仕事してます。

袖口の色布の幅とのバランスで衿の幅も変えたのかな?なんにせよこのほんの少しの工夫が全体的なデザインにものすごい影響を与えていると感じました。
衿のもう一つは見たまんま、左右で色変えてるの。写真集ガン見してやっと理解しました。(映像って見入っちゃうよねっていう言い訳)
上衣の袖口の布と下衣の縁取りの布、なんですね。やること細けえなあー。

あとはみなさんお気付きの、「腰に巻いてるのいろいろじゃん、きゃーーーー!!」です。
土方組、源氏兄弟はお揃い、村正はピンク、物吉くんはなんかキラキラしてるし、今剣ちゃんはいつもの差し色赤、蜂須賀さんは金に藤色の飾り紐、他にも和服の帯っぽい感じ…とまあ書き切れないですね。(映像見て目についたのだけ書きました。刀選に特に意図はありません)
そして腰で巻きつけてる下衣は合わせる位置が刀によってアレンジしてあります。センター・右寄り。左寄り。これは元の戦装束のデザインとか下に履いているものとの兼ね合いとか色々かなあ。長曽祢さんのが短いのは膝の防具にぶつかっちゃうからなんだろうけどなんかちょっとふふってなりましたね。(褒めてます)

 

祭りのパートだけで繰り返し何回でも見れる。見るたび発見がある。恐ろしい。
ちなみに祭り衣装の生地はよくある普通の布で、これはプリントが綺麗に出るってのと法被(御輿担いたりするときに着てるやつ)はそもそも綿(豪華な織物ではない)ってので、その分衿と袖口に織り模様の入った生地を使うことで舞台映えしてるなと思います。

祭り衣装は工夫と絶妙なバランスと私たちが大好きな萌えどころをピンポイントでついてくるっていう奇跡の仕上がりですね。
はあああああ。ありがとう。

 


ついでに蜂須賀様の新衣装について語ってもいい?語りますね。
なにあれ最高!!!!刀ミュ運営の偉い人ありがとう!!そして麗しいお衣装にしてくださったデザイナさん大好き!

 

 

 


初見は夢か幻覚かと思いましたね。
フリルタイをレースで作った(正確にはシャツに縫い付け)のを刀剣男士に着せるとか正気じゃない。最高。はっちーだから似合うし相応しい。
ベストは全面レース重ね(かな?)にブレードで縁取りした上に金ボタンでゴージャスなのに上品
ジャケットは細かいラメ入りで、返り衿(ラペル)は刺繍入りの薄布っぽいの重ねててさらにベストのブレードと同色で太い縁取りの存在感。
普通こんなに合わせたらギランギランになっちゃうところなのに上品。
何より全体の色味がシャンパンゴールドと薄い藤色っていう淡い色なのにぼやけた感じが一切ない。
パンツはシンプルな白なんだけどサイドに黒地金ラメ(っぽい)のラインを入れることで引き締まっている。そして腰のふわふわかわいいな。何と言っても白の編み上げロングブーツ!!(紐がゴールド)
はぁー、蜂須賀様最高かよ。最高だよ。好きキャラだからごめんね。
この全体に淡い色合いに藤色のロングヘアーがすっごく映えて美しいの一言。この衣装では髪飾りが控えめで、イイ!
蜂須賀さん単体で見ると袖口のファーが異質で、どうした??ってなるところなんだけど、幕末組(むすはじ衣装)と並ぶと「なるほど!」なんですよね。あと、ジャケットに縦に入っているオレンジのラインは長曽祢さんとお揃いなんですよ。虎徹…。
(っていうか、長曽祢さんのジャケットについてるベストにもレース重ねてない?まじかよ。むすはじの衣装についてまだなんも書いてないよ。ここも”対”じゃん。虎徹ッ!!)

追記2019/08/13

蜂須賀さんの後姿、ベルトにマイク機材入れと思われるケースがついてます。スマホくらいの大きさで奥行は結構ある感じのケース。

これがですね、黒(合皮)にゴールドのレースで装飾してあるんですよ!!この細かさ!!ありがとうありがとう。かわいいよはっちー。

追記ここまで

 

今ふと思ったんですが、フリルタイとか似合う刀剣男士もう一振りいましたね。加州清光。使うアイテムが同じでも色味と組み合わせでこんなに雰囲気が違うものができるんだなあと。
本当にそれぞれに合わせてあらゆる角度から考えられているお衣装だなと感心しきりです。

らぶフェス2018の円盤からは以上です。

 

すみません、もう一つありました。
みんな気づいたやつ。膝丸の袖のお直しの件
若いもんね、成長するよね。ご本人が「すぐに筋肉がついちゃって…」っておっしゃってました。一年前にサイズ合わせて作った衣装を再び着るってなかなか厳しいですね。苦肉の策のお直しだと思うんですが、あれ大変だったんだろうな。

具体的にどこが?っていう説明をしますと、袖の内側に別布を足して袖の太さを出してありました。この別布というのが、ジャケット生地が黒地に銀ラメに対して黒無地だったのでよく見ると目立つという感じの仕上がりでした。

実際に中の人の腕がいい感じに筋肉増してたので衣装がきつかったんでしょう。

袖の直しってアームホール(袖付け)変わるから自分ならめちゃくちゃブチブチ言いながらやるやつです。


この手の衣装って一つの公演の後は着ない(らぶフェスはあったけど)し、1着ずつフルオーダーメードなので生地は必要な分だけ買うことがほとんどです。生地屋さんに行くとロールになって売ってますよね。戦装束みたいに同じのを作り直す可能性が高いとかだと一反(ひと巻き)買って保管したりはありえますが。
さらに衣装に使うような特殊生地は定番品っていうのが滅多になくて一年後に同じのが欲しいとかほぼ無理です。あってもロットが違うと微妙に色味が違ったりするので袖だけ取り替えとかできなくて全部作り直しになっちゃいます。そんな経緯でああいうお直しになったのではないでしょうか。
双騎出陣も決まってたからあの衣装着るの最後だし。(新しいお衣装ができるとそっちを着ることになるので)
体型については役者さんも大変だけど衣装さんも大変ですね。

 

というところまでを 2019/7 双騎前に書いてあったんですが、編集の都合とかそんなので寝かせてました。双騎の記憶が新しいうちに書くにあたり、編集が済んでませんが一旦あげておきます。